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三十七

「そんな事を言われても」

 すっかり青くなっている船長、ここで破近の姿を認め


「あ、青虫さん。え、えらい事になってしまって!」


 だが


「人に助けを求める時に、青虫やて?」


「あ、つい。す、すみません」


 思わず頭を下げた船長に目やり


「ま、ええわ。で、八重とかいうあんた」


「な、何です?」


 予想外の相手からの声に、一瞬ひるんだ八重。


「鯨が勝手にぶつかってきたんやで? 防ぎようあらへんやろ?」


 この一言で収まると思いきや――


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