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三十六

「だ、大丈夫か?」


 普段冷静そうな翔助だが、さすがにこの時ばかりは慌てている――目の前で、お鶴が床に倒れこんでいるのだ。そしてすぐに、直次とともに彼女を抱き起こしている。


「ほな、皆はん。そろそろ、下に行きまひょか?」

 破近がそう言いながら、窓の鍵をかけ


「無用心やさかいな」



 広間へと下りた一同の耳に、相変わらずの八重の金切り声が入ってきた。


「大体、船が壊れるからいけないのよ! どうやって責任を取るつもり!」


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