二百字掌編シリーズ 『青き目をした同心』

二十

　その後、浜辺で晩飯の海鮮鍋を食らっている皆の衆。暑い中に熱きもの、誠にご苦労様である。

　そしてそこには、匂いに誘われた一号室の男もやってきている。そんな彼に向って、直次が

「おい。そろそろ挨拶の一つくらいしたらどうだ？」

　これにようやく、相手が一瞬だけ頭を下げ

「源平だ」

「おや、そうですかい」

　これに姐さん、頷きながらも

「でもね、源平さんとやら。そんな無愛想にしてたら、せっかくの旨いものも不味くなりますよ」