二百字掌編シリーズ 『青き目をした同心』

十二

「旦那！　こっちを見てくださいな！」

　すっかり子供に戻った姐さん。こうなると、冷奴姐さん以前の大豆娘だ。

　そこにやってきた破近も、いたく感激の面持ちで

「お、何とまあ厠に椅子が！　こら、ケツにも負担がなくてええわ」

「痔やったんかい！」

　館内探索も終え、再び広間に戻ってきたお二人さん。

　そこでようやく他の乗客らに気づき、揃って

「あ、ども！」

「お初です！」

　だがすっかり飲まれているのか、相手方からは一切の返事もない。