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十一

「あらま、素敵な館だこと! 惚れ惚れしますねえ!」


 だが前向きな破近


「え? わいに?」


「や、か、た、だ!」


「あ、何や」

 調子の良い男、ようやくそれを認め


「へえ、煉瓦でできてるんや」



 中へ入っても、姐さんの興奮は冷めやらず


「あれまあ! 和式のもんとは全くちがうねえ!」


「ホンマや! 二階の部屋が、ここから丸見えやし。おまけに階段もメッチャ広いし」


 この時、姐さん、足元の周りをキョロキョロと


「どこで草履を脱ぐんだい?」


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