二百字掌編シリーズ 『青き目をした同心』

二十四

　ギロリと蕾を睨んだ又造。だがすぐに笑顔をつくろい

「こいつは手厳しい娘さんだ」

　そして、なおも

「だって残された人も、ううん、残された人の方が大事ですう。又造さん、格好良さそうな事言っても、すんごく格好悪い……」

　ここで親分が

「蕾！　もうやめろ！」

「いえ、いいんですよ。それにしても、この又造が娘さんに諭されるとは」

　そう言った相手、目の前の四人を順に見やりながら

「あれは三年前のちょうど今時分、それも白昼でしたな」