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二十

「ま、いいわ。でな、この一家に男のガキはいたんかいな?」


 菖蒲殿、この問いに当時を思い出しながら


「いや、おそらくいなかったかと」


「おそらくねえ」

 破近、そう言いながら手元の事件簿を捲り


「確かに、夫婦には子供がいなかったみたいやな」


 この時、朝ちゃんが


「では、このヤマは関係ないと?」


「何とも言えんわ」

 首を振る破近、菖蒲殿に向って


「なあ、こん時の岡っ引きって誰やねん?」


「えっと去年引退した又造という者だが」


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