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十九

「ここに、酒って言葉が!」


「ん? 喜助、見してみ」

 その事件簿を受け取った破近、すぐに眉をひそめ


「酒問屋一家の惨殺かいな」


 この時、菖蒲殿


「それ、よく覚えてる」


「そか。で、下手人は、ここに名が載ってる吉次に間違いはないんか?」


「それは間違いない。なんせ、その現場で刃物を振り回してたんで」


 だが破近、鼻で笑い


「ふん。それは、かいな? それも、っくらいは言わなアカンわな」


 これには、黙りこくるしかない相手である。


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