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十二

「ふうん。こんな小さな棒一本でねえ」

 不思議そうに、手に取った銀の棒を見ている三つ葉


「じゃあ、厨房に行こう!」


 二人が厨房を覗くや否や、一人のおばさんが


「こらっ! また盗み食いして!」


「べーだっ! おい、逃げるぞ、次助!」

「あ、待ってよ、兄さん!」


 すぐに見えなくなった子供の方に向かって


「くそっ、何て逃げ足の速いやつらだ! 今度こそ……」

 そう吐きながら、振り向いたおばさん


「ん? ああっ! 蕾ちゃんじゃないかい!」


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