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第四話 ×(バツ)の悲劇 一
「くおら、待たんかい!」
コソ泥の鼬小僧を追っている二人組、いつのまにか深い雑木林の中にいた。
「メッチャ逃げ足速いやん! つか、ここどこやねん?」
「旦那、どうやら迷ったみたいで」
「んもう、喜助ったら! 何で、いっつも迷惑かけるん?」
「そ、そんなこと言われても……」
この時、ふいに大粒の雨が彼らを襲った。
「き、貴様のせいや!」
「それよりも、早く雨宿りを!」
相手を促す喜助、周囲を見回し
「あ、あそこに灯りが!」
*エラリー・クイーン「Xの悲劇」への、ほんの1%のオマージュ