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百十四

 すぐに歩き出したお絹の背中を見ながら


「なあ、青き目。何故にわかった?」


「仲間の一人が密通者となったんですが、どうにも納得できまへんで。で、一晩中考えたんですが、思わず笑っちゃいましたわ」


「ほう? また何故に?」


「だって木俣様。密通者って、このわい自身やったんですわ!」



 一方の親分ら三名は万が一に備え、それとなく菖蒲殿の周りを囲んでいる。


 そこにようやく来たお絹、早速端から順に同心らの顔を覗き込みだした。


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