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百八
町奉行――聞こえはいいが、幕府と民衆の間に挟まれ、その二つの均衡に絶えず気遣っている、誠に大変な職務なのである。よって、無責任な吟味は許されないのだ。
「は、い」
蚊が鳴くような、菖蒲殿の声。
さらに、そこへ
「あまり、顔に泥を塗るような真似をするなよ」
黒の色眼鏡でこう言われると、そらたまったものではない。
「は、い」
そして、木俣様が破近の方に向き直り
「話はわかった。だがな、やけに先手ばかり打たれておるな」
町奉行――聞こえはいいが、幕府と民衆の間に挟まれ、その二つの均衡に絶えず気遣っている、誠に大変な職務なのである。よって、無責任な吟味は許されないのだ。
「は、い」
蚊が鳴くような、菖蒲殿の声。
さらに、そこへ
「あまり、顔に泥を塗るような真似をするなよ」
黒の色眼鏡でこう言われると、そらたまったものではない。
「は、い」
そして、木俣様が破近の方に向き直り
「話はわかった。だがな、やけに先手ばかり打たれておるな」
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