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七十六

 大勢の男どもを引きつれ再び戻ってきた破近、その顎に手をやったまま


「そうなると、もしや?」


 この時


「だ、旦那! 何があったんで?」


「ん? あれ? 猿公やん」


「い、いや、ここが気になったもんで……」

 そう言いながら、忙しく動き回っている男たちに目やり


「ま、まさか? 女将が?」


 これに破近、頷きながら


「その、まさかやねん。背中から一刺しやわ」


「ちぇっ、何て手回しのいい!」

 

 舌打ちをする猿公に向って、破近が


「でな、猿公」


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