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六十四

「ほう、愛人の事は知ってたんだな?」


 これにお絹が高笑いし


「当ったり前ですよ、旦那。もうさ、露骨に連れまわってましたからねえ」


「そうか。その中で、知ってる人物は?」


「全く興味がなかったし……ああ、愛人にも亭主にもね!」


 ここで少々考えた親分は


「じゃあ、亭主の部屋でも見せてくれ」




「ここですよ、旦那。まだ、何も手つかずですがね」


 すぐに部屋の中を調べ始めた親分、確かに畳の上にも、どす黒い箇所が残ったままだ。


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