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六十三

「あー暑い、暑い!」


 別室にてかなりの間待たされた親分、ようやく姿を見せたお絹に


「悪いな、女将。で、早速なんだが、亡くなった亭主の副業について聞きたいんだ」


「ああ、金貸しですか? そっちの方は、全く知りませんねえ」

 つれない返事の相手、さらに


「もう、いいじゃないですか? 下手人も捕まった事だし」


「いや、あれは真の下手人ではないんだ」


「え? そうなんですかい。まあ、どっちにしろ愛人の中の誰かに決まってますよ」


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