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四十二

「それもそうだな」

 同意した喜助が、さらにお光へ


「じゃあ、あんたの他に愛人は? 名前くらいは聞いてないか?」


「実はお一人だけ……確か、出雲屋さんのお加代という女将だと」


「何? あの旅籠屋の?」



 店を出た二人


「なあ。いつ、くすねたんだ?」


「あ、スルメですかあ? 実は」

 ここで蕾が、ペロッと舌を出し


「気がついたら、懐に入ってたんですう」


「そ、そんな癖が?」


 この時、驚く喜助の横を、数人の男が慌しく走りすぎていった。


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