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二十五

「へえ、さすが南町奉行所ですね。で、その愛人っていうのは?」


 これに、おっさんがドスの利いた声で


「その名前は……はて? 何だっけ? あ、そうそう、お香だ! ん? お香だって?」

 そして女将を見やり


「おお、偶然にも女将さんと同じ名とは、こいつはたまげたわい!」


 この時、糸が切れた操り人形の如く、女将がその場に崩れ落ちてしまった。


「おっと! こりゃ、少々度が過ぎたわい!」


「そら、親分、無茶苦茶熱演されてやしたから!」


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