二百字掌編シリーズ 『青き目をした同心』

二

　一緒になってそれを見ている姐さんだが

「あら？　今日は『てーへんだ！』って、言ってないわねえ」

　やがて二人のところまでやってきた喜助、この時初めて

「旦那、てーへんだ」

「何やねん？」

　だが、隣の姐さんを一瞥する喜助。

　これに

「あら、お邪魔のようだねえ。では、失礼をば！」

　そう言った姐さん、さっさと行ってしまった。

　その後ろ姿を恨めしそうに見ている破近、すぐに喜助に向かって

「おいこら！　何ちゅうことしてくれんねん！」