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第三話 その娘(こ)を救え! 一
「姐さん。実は兜山で、夜景が一望にできる場所を見つけたんやわ。そやから、今宵は二人して……」
相変わらずの同心だ。
「破近の旦那さあ。こんなおばちゃんなんか相手するより、もっと若い娘を相手にしたらどうなんだい?」
「そんな小便臭いのなんて、相手せんわ」
これに姐さん笑って
「ならあたしゃ大便臭いけど、それでもいいのかい? それよか旦那、またお迎えがやってきたよ」
破近が後ろを振り向くと
「また、喜助の野郎かい!」
*ノエル・カレフ「その子を殺すな」への、ほんの1%のオマージュ