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三十一

 早速調べに行った喜助だったが


「旦那。二人の荷物からも部屋からも、何も出てきやしませんでした」


 これには、二人が

「あ、当たり前です」


「嫌らしい」


 ここで女将が


「でも、旦那様。賊は外から侵入してきたんでは?」


「ああ、勝手口な。あれは中から破られたんやわ。その証拠に、外に木の破片が落ちてたさかいな」


 これに喜助が


「ぎ、偽装? じゃあ、やはり下手人は家の中に?」


「そやねん。だから、こうやって徹底的に調べてるやん」


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