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 ようやく落ち着きを取り戻した破近


「なあ、女将。橋のこちら側には、この宿屋以外には何があるん?」


「何もございませぬが?」


「ほなら、わいらの前に、ここにやってきた者がおったやろ?」


「はい、左様で」


 この返事に満足した彼、さらに

「で、今どこにおるん?」


「はい、それは」

 ここで指を折りだした女将


「梅の間に、桜の間に、桃の間に……あとは桐の間です」


 危うく、飲んでいた茶を噴出しそうになった破近


「よ、四人もやて?」


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