二百字掌編シリーズ 『青き目をした同心』

八

「あらま？」

　最初こそ相手の風采に驚いた女だったが、すぐに

「まあまあ、このような雨の中を。ささ、早くお着物をお脱ぎくださいませ」

「ん？」

　家中を見回した破近

「ここって宿屋なん？」

「ええ……それにしましても、お偉いお方が何故に？」

「いやね。賊を追っかけて吊り橋を渡ったら、ここが目に入ったんで」

「賊ですって？　そらまた物騒な」

　相手の女、ここできちんと座り直し

「申し遅れました。ここの女将のお亀にてございます」