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「もう、あちこち走り回ったおかげで汗だくですよ!」

 そう言って、喜助が破近の顔を覗きこみ


「やっぱり、蚊に食われすぎたせいで?」


「ちゃうわ!」

 何故だか機嫌の悪い同心、一枚の手紙を喜助に渡し


「これ見てみい!」


「え?」

 それを読み出した喜助だったが、すぐに


「あらまあ? 奥方がこちらに?」


「そや、半月後にお江戸まで来るんやわ。んもう、はあ? やわ」

 深く溜め息までつく、そんな破近に向って


「そ、そこまでお嫌なんで?」


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