二百字掌編シリーズ 『青き目をした同心』

九

「ほな、わいは家に戻るさかい」

　そう言って、クルリと背を向けた相手に

「ちょ、ちょっと、早く行かないと！」

　すでに、とぼとぼと歩き出している破近。喜助、その後姿を見やりながら

「あらら、覇気が全くないじゃん」

　そうつぶやいて、隣の姐さんに

「旦那、何かあったんですかい？」

　だが

「ううん、何にもありゃしないよ」

　首を横に振った姐さん、その背に向って

「旦那！　ほら、立つ鳥何とかですよ！」

　それに喜助が

「た、立つ鳥って？」