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第二十九話 命光組、現れる

真也は必死に街の中を走り回り、宵時を探していた。


「はぁっ、はぁっ」


「軟弱なやつじゃのう。そんな調子では見つけられぬぞ」


前かがみで息を切らす真也の周りを、ヤマコはグルグルと走る。


「じゃが、これも体力を鍛える訓練じゃと思えば、悪くないかもしれぬな」


「宵時さん……」

 

嫌な予感がした。

 

真也は頭を振って、再び走り出す。


やがて、寂れたあばら家が並ぶ場所にたどり着く。


「この辺りにいなかったら、もう……」


真也は力なく肩を落とす。

 

その目には、どうしようもない焦りが滲んでいた。

 

「むっ!」


ヤマコが突然声をあげた。

 

耳がピクピクと動いている。


「何者かが戦っている音が、聞こえるぞ」


「どこだっ!」


ヤマコは耳をすませると、走り出す。


「向こうじゃ」


たどり着いた先では、宵時と金髪の青年が戦っていた。


「宵時さんっ」


「来るなっ!!」


宵時が叫ぶ。


その瞬間、青年の槍が宵時の腰を掠めた。


「ぐっ!」


「余所見は駄目だろ」


青年は首の後ろを触りながら、こちらを見る。


白い和服には天秤のバッジがついている。


「あ〜。君が浜野くんか?」


「誰ですか」


青年は槍を振り回すと、地面につき刺した。


「戦う気はない。ただついてきて欲しいんだよ」

「俺は命光組の三番隊隊長雨伝静(うでん しずか)だ」



金髪のサイドを刈り上げた髪型の青年は、ニコリと笑いかけてきた。


爽やかな笑みからは、敵意が感じられない。


だが、それが逆に怪しく感じられた。


真也は懐の心宝石に触れる。


「まあ、警戒するよな」


宵時が斬りかかる。


雨伝は槍で受け止めた。


「ふぅ、面倒臭いな」

「さっさと終わらせるか」


宵時は飛び退くと、刀から水を出す。


「異能力者か。厄介だな」


飛んでくる水の刃を、雨伝は躱す。


真也は迷わず心宝石を手に取ると、弓に変えた。


狙いを定めて、雨伝に放っていく。


「二対一は卑怯だろ」

「まあ、こっちも二人いるんだけどな」


雨伝と視線が交わる。


その瞬間、背後に気配を感じた。


宵時の水の刃で、後ろにいた人物が飛び退いた。


真也は素早く、距離をとる。


「すみません。隊長」

「しくじりました」


長い黒髪を後ろで緩く結んだ青年が、刀を持って立っている。


「あ〜。大丈夫、大丈夫」

 

雨伝は青年に手を振って、ヘラヘラと笑いかける。


「命光組、三番隊副隊長泡田死司丸(あわた ししまる)

「任務を遂行します」


青年の緑色の瞳が鋭く光る。


その瞬間、目の前に刀が迫ってきた。


咄嗟に弓で受け取める。


「っ!」


この人、力が強い……。


真也は吹き飛ばされて、地面に転がる。


チラリと宵時の方を見ると、彼は雨伝と戦っていた。


「他人頼みか。軟弱だな」


泡田の声が聞こえた。


その瞬間、真也は後ろに飛び退く。


目の前を刀が掠った。


「速いっ!」


「お前が遅いだけだ」


泡田の斬撃を必死に避ける。


距離を取ろうとするが、泡田の攻撃は鋭くて速い。


「抵抗は無駄だ」


泡田の鋭い突きが、真也の弓に当たった。


弓が腹に食い込んで、地面に転がされた。


「かはっ!ケホッ、ケホッ」


咳き込んで、うずくまる。


立ち上がる前に、泡田の手刀が首に振り下ろされた。


首に鋭い痛みが走る。


真也の意識は遠のいた。

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