表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/36

第二十二話 真のラスボス

安道が死んだことを察した忍たちは、武器を捨てて逃げ出した。

 

その時、突然、拍手の音が聞こえてくる。


「いや〜。栞ちゃん、大活躍だったな〜!」


逃げていく忍達の間から、浅田と坂下が現れた。

 

浅田はニヤニヤと楽しそうに笑いながら、手を叩いていた。

 

隣には坂下もおり、その手には細長い針が数本ほど握られている。


「貴様っ!!その手に持っている針はっ!!」


「要らない駒は処分しないとね」


雀和の言葉に、坂下が笑顔で言い放つ。


「で、なんで栞ちゃん殺したんだ?まだ使えそうだっただろ?」

「いい女だったしなぁ」


浅田が安道の死体を、舐めるように見る。


太郎の目が不快そうに細まった。

 

浅田から隠すように、安道の死体の前に立つ。


「仕方ないよ。自分より『下』に見えた相手は、もう使えないから」


「あ〜。そういえば、そんな能力だったなぁ」


坂下は橋の手すりの上に立つ真也の方を見上げる。


「浜野くん、こっちにおいでよ。君は僕よりも『上』の人だ。僕なら君をもっと強くできるよ」


真也はじっと、坂下を観察する。


坂下の目は酷く濁っていた。


この人はダメだ。

彼は白羽さんとは違う。

彼女のような優しさや思いやりを持つ人じゃない。

 

真也は坂下に向けて弓を構える。


「そっか、残念だな……」


そう言って、坂下は首元の服の下からネックレスを取り出す。


「あれは、心宝石か?」


真也がポツリと呟く。


緑色に輝く石、心宝石を握ると、坂下の姿が変わる。


透き通った緑色に輝く、狼の面。


坂下がグッと手を握ると、緑色の針が指の隙間から数本現れる。

 

針を一本、浅田に向けて放つ。


針が刺さった浅田はドサリと地面に倒れた。


「何を……」


真也達は不審な目で坂下を見つめていた。


すると、浅田がふらふらとしながら起き上がった。

 

首元には、緑色の爪痕の紋章が描かれていた。


「まさかっ!」


雀和が安道の首元を捲る。


彼女の首にも、うっすらと紋章が残っていた。


「坂下っ!!」


雀和が坂下へ向かって、走り出す。


しかし、浅田に蹴り飛ばされた。


雀和は吹き飛ばされて、地面を転がった。


「僕は浜野くんと、話してくるよ」


「なら、俺はこいつらと遊ぶかぁ」


浅田の顔に好戦的な笑みが浮かぶ。


坂下は真也の方へ地面を蹴って、ふわりふわりと軽やかに飛んでいく。


やがて、真也が立つ橋の手すりの上におり立つ。


「浜野くん、今ならまだこっちに来れるよ」

「ほら、おいでよ」


坂下は甘い声を出して、真也を誘う。


その笑顔からは、微塵の優しさも感じ取れなかった。

 

真也は冷たく言い放つ。

 

「お断りだ」


言葉と同時に矢を放つ。


坂下が飛び退くと、続けて矢を放っていく。

 

真也の矢を空中を飛び跳ねて、坂下は避けていった。


「僕たち、相性が良いよ。僕がいれば、君の力をもっと引き出せる」

「でも見た感じ、その心宝石は本物じゃないね。あの神様が急ごしらえで作った感じかな」


矢を飛ばしながら、真也は坂下と距離を保つ。


坂下は的確に真也の矢を避けている。


真也が坂下への警戒心を上げていると、突然、彼が声をあげる。

 

「あっ……」

 

坂下に炎の塊が激突する。

 

炎の中から太郎が現れた。

 

「援護射撃を頼むでござる」


「近接戦闘はお願いしますよ」


太郎は坂下へ向かって走り出し、真也は弓を構える。


「浅田くんが見逃したのかな……。あぁ、駄目だな。この考えは良くない」

「危ない、危ない。また一人、駒を減らすところだった」


坂下が頭に手を当てて、独り言をつぶやく。


「余所見は厳禁でござるよ」


太郎が坂下の背後へ回り、刀を振り下ろした。


「そんな攻撃じゃ、駄目だよ」


しかし、坂下は高く飛び跳ねて、太郎の攻撃を避ける。

 

「ならば、これでどうでござるか」


太郎の口から炎の吐息が漏れる。


空中から炎の鎖が現れて、坂下の手足を縛った。


「熱い……」


坂下が苦しげな声を出す。

 

だが、その声には恍惚(こうこつ)が混じっていた。


「栞の仇はうたせてもらおう」


太郎は刀の切っ先を坂下へ向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ