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第十四話 作戦前夜

作戦前夜。


名城の屋敷の一室で、真也と白羽は話していた。


「そういえば、異能力って知ってるか?」


真也の言葉に、白羽は目を輝かせた。


「異能力?分からないけど、なんか凄そう!」


異世界らしい言葉に、白羽は無邪気に笑う。


「宵時さんは、確か異能力が使えましたよね?」


部屋の隅に座っていた宵時に声をかける。


「当然だ」


真也たちの方を見ずに、宵時は短く答えた。

 

彼は刀を肩にかけて座っている。


警戒しているのは誰が見ても明白だった。


「僕の家は由緒正しき異能力者の家系だからな。だが、他人に能力の話をするつもりはない」

「お前もむやみやたらに僕の異能力を話すな」


彼はふいっと壁の方へ、そっぽを向くように顔を背けた。


「では、拙者が異能力について説明しよう」


「うわっ!?」


背後から突然声がして、白羽は飛び上がった。


振り向くと、太郎が腕を組んで立っていた。


「いつの間にっ!?」


「忍でござるからな」


白羽の反応に太郎は楽しげに笑う。


「まず、異能力は誰でも使えるわけではない。生まれつき、持つ者と持たざる者がおる」

「そして異能力は血筋によって受け継がれることが多い。ゆえに、使える能力も家系ごとに異なるでござる」


「なるほど……」


真也が感心したように頷く。


「ちなみに太郎さんは異能力者なんですか?」


真也の問いに太郎は無表情になる。


そして、小さく頷いた。


「当然、拙者も異能力者でござる。拙者はホムラの里の朱炎派本家の血筋。ゆえに『浄火の炎』を扱えるでござる」


「浄火の炎?」


白羽が不思議そうに首を傾げる。


「うむ。簡単に言うと、傷を癒すことができる炎でござる」


「へぇ〜!便利そう!」


白羽がニコニコと笑う。


治癒系の能力か。

炎だから、攻撃も強そうだな。


真也は冷静に太郎の能力を分析した。

 

「他の人たちはどうなんですか?名城さんと雀和さんは異能力を持っているんですか?」


「綾彦と鳴介は無能力者でござる。蒼炎派は基本的に無能力者が多い。安道栞も無能力者でござるな」


その言葉を聞いて、真也と白羽は思わず顔を見合わせた。


白羽の肩から少しだけ力が抜けた。


しかし、太郎は深刻な表情で言葉を続ける。


「だが、無能力者だからといって油断はできぬ」

「やつは強い。心宝石の影響で、以前とは比べ物にならぬほどの強い力を手に入れている」


部屋の空気が自然と引き締まった。


太郎は、ふっと表情を和らげる。


「安心なされよ。負ける気はござらぬ」


その笑顔に、白羽は少しだけ安心したような顔になる。


しかし、真也の表情は固いままだった。


「それよりも、拙者は宵時殿の異能力が気になるでござる」


突然話を振られ、宵時が露骨に嫌そうな顔をする。


「あっ、確かに!気になる〜!」


白羽が目を輝かせながら宵時に近づいた。


「話す気はない」

 

宵時が冷たく即答する。


「そう言わずに〜!」


「おい、気安く近づくな」


じりじりと距離を詰める白羽に、宵時は慌てて距離を取る。


「白羽さん、やっぱり強いな。あの宵時さんがたじろいでる」


小声で呟く。


二人の様子を見ていると、少しだけ緊張が解けた気がした。


「待ってよ〜!」


「なんなんだ、この女は!?」


宵時は白羽から逃げ回る。


太郎は腕を組んで、満足そうに頷いた。


「うむ、仲が深まるのは良いことでござるな」


「そうですね」


真也も軽く頷く。


「そういえば、太郎さんは白羽さんとすごく仲がいいですよね?」


「うむ。由美殿を見ていると、妹を思い出すのでござる」


「妹さんがいるんですか?」


真也がふと隣を見ると、太郎は少し悲しげに目を伏せていた。


その目の奥には、深い後悔があった。


「今はもういないでござる」


「すみません……」


二人の間に沈黙が流れる。


少し気まずそうに、真也は頬をかく。


やがて、太郎が口を開いた。

 

「妹は体が弱く、忍には向いていなかった。だが、あの子は由美殿のように明るくて優しい子であった」

「拙者が未熟であったばかりに、あの子は……」


太郎は白羽を見つめていた。

 

彼は白羽を通して、別の誰かを見ているようだった。


「すまぬ。暗い話をしてしまったでござる」


「いえ、大丈夫です」


真也は確信した。


初めて会った時から、二人の距離感に違和感を感じていた。

 

太郎さんは、妹を。

白羽さんは、父親を。


二人はお互いに、相手に別の人を重ねている。


真也は白羽と太郎を交互に見た。

 

この二人の関係は、少し危ういのかもしれないな。

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