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ある求人

作者: 口羽龍
掲載日:2026/03/08

 ある春の事だ。直之はなかなか就職できなくて、焦っていた。高校は卒業したものの、どの企業も不採用で、両親は心配していた。このままでは就職できずに終わってしまうのではと思われていた。何が何でも就職して、両親を楽にしてやりたい。自分で道を切り開き、自分で生きていくためにも就職しないと。


 直之は企業フェスタがやっているという市民センターにやって来た。ここには多くの企業が集まっていて、この求人はどうかと来場者に話しかけてくる。


「来たか・・・」


 直之はため息をついた。なかなかいい企業が見つからない。見つかっても、不採用ばかりだ。どうすれば自分は就職できるんだろう。直之は不安になっていた。


「どんな求人があるんだろう」


 直之は会場になった。そこには多くの人がいて、会社の関係者がいる。彼らは一生懸命、仕事をアピールしていた。自分でも頑張れる企業って、あるんだろうか? 直之は不安でしょうがない。


「すいません」


 まず、直之は入り口付近のブースにやって来た。そこは鉄鋼業だ。


「あっ、どうも」


 直之は用意してあるパイプ椅子に座った。


「どんな求人なのか知りたくて」


 職員はパンフレットを見せた。なかなかいい所だな。でも、残業が多そうだ。定時に帰れなかったら、精神的につらくなりそうだ。


「これですか? 残業が多いけれど、アットホームで雰囲気がいいですよ。どんな仕事をしてきたんですか?」


 どうやら、ここはアットホームな場所で、悪い雰囲気はなさそうだ。ここもなかなかいいな。ちょっと考えておこうかな?


「まだ初めてです」


 それを聞いて、職員は驚いた。まだ就職した事がないとは。でも、ここで頑張れば、きっとできる子になると思うよ。


「そうですか! ぜひ、ここで頑張ってみませんか?」

「・・・、また考えときます!」


 直之はパンフレットをもらった。今夜、家族に話してみようかな?


 と、そこに男がやって来た。男は大柄で、どこか怖そうな雰囲気だけど、優しそうだ。


「すいません、この求人、どうですか?」


 男は直之にパンフレットを渡した。それは、喫茶店『宝玉』の求人だ。聞き覚えのない喫茶店だな。どんな喫茶店だろう。


「あっ、これもいいですね」


 直之は笑みを浮かべた。喫茶店の雰囲気がなかなかいい。ここで働いてみたいな。


「いいでしょ? みんな優しいし、かわいいですよ」


 直之は魅力にひかれた。みんな優しくて、かわいいのか。今、流行しているメイド喫茶ではないよな?

 

「そうですか。じゃあ、来てみようかな?」

「この日に面接を行うんですけど」


 それを聞いて、職員はある紙を渡した。明日、面接があるようだ。まさか明日とは。これは行かないと。


「じゃあ、お願いします」

「ありがとうございます。お待ちしております!」


 というわけで、直之は明日、面接を受ける事にした。どんな喫茶店だろう。なかなか魅力的だな。




 翌日、直之はその喫茶店にやって来た。そこは都内の入り組んだ所にある。少し小さな店で、人通りが少なくてひっそりとしている。ここで働くのかと思うと、少し戸惑っている。


「ここか・・・」


 直之はノックをして店に入った。そこには、企業フェスタに来ていた男がいる。その男は社長のようだ。


「あっ、よろしくお願いします」

「こちらこそ」


 直之はお辞儀をすると、男もお辞儀をした。とてもていないな人だな。男にこの椅子に座るように勧められたので、直之は座った。


「今日は面接にお越しいただき、ありがとうございます。履歴書を見せてください」

「はい、どうぞ」


 直之は書いてきた履歴書を提出した。男は履歴書をしっかりと見ている。高校を卒業してから、まだ就職が決まっていないのか。早く決めてほしいな。


「ふーん・・・、君、高校を卒業したけど、なかなか就職が決まらなかったんだ」

「はい・・・」


 直之は戸惑っている。どう答えればいいんだろう。どうして決まらなかったのか問われても、なかなかその理由が見つからない。いつもこれで引っかかって、採用してもらえなかった。


 だが、男は笑みを浮かべている。どうしたんだろうか?


「大丈夫だよ。君、けっこうできそうな感じだよ」


 直之は信じられないような表情だ。できるのかな? 不採用ばっかりで、頼りない奴だけど、本当に大丈夫だろうか?


「ありがとうございます・・・」


 直之は照れている。できそうな感じって、どうしてだろう。


「ここはですね、喫茶店に来た人の接客をしてもらうんだけど、どの人もとても優しいし、店員はみんな優しいよ」

「そうですか! ますますここに入社したいと思うようになりました!」


 直之は明るそうな表情だ。それを見て、男は喜んだ。どうやらこの人は入社したいと思っているようだ。これはいけるかもしれないな。


「そっか。入ってみたいですか?」

「はい!」


 直之は元気そうな表情だ。もし入社できるのなら、入社したいな。


「じゃあ、明日から入ってみますか?」

「いいんですか?」


 直之は驚いた。こんな自分でも、採用してもらえるとは。とても嬉しいな。


「はい! では、明日から来てくださいね!」

「わかりました!」


 まさか明日から来るとは。何はともあれ、仕事ができるんだ。仕事ができる喜びを感じないと。


「今日はありがとうございました! 明日からよろしくお願いします!」


 直之はお辞儀をした。まさかこんなに簡単に受け入れてくれるとは。今までの苦労は何だったんだろうと思うぐらいだ。相性が悪かっただけだったんだろうか?


「ありがとうございます!」


 面接は終わった。直之は立ち上がった。


「失礼します!」


 直之は喫茶店を後にした。直之は軽やかな足取りだ。明日から仕事ができるからだ。




 翌日、直之はその喫茶店にやって来た。直之は緊張している。初めての職場だ。どうみんなと接すればいいんだろう。


「ここだったな」


 直之は開店前の店の裏口に入った。店員はここから入るようだ。だが、直之が入ると、そこには人間ではなく、ドラゴンがいる。これはどういう事だろうか?


「えっ!?」


 その声を聞いて、ドラゴンたちは反応した。


「あら、新人さんだね」

「はい・・・」


 直之は戸惑っている。まさか、ここって、ドラゴンの喫茶店なのか?


「今日からよろしくお願いします!」


 と、直之は異変を感じた。足取りが重いのだ。どうしたんだろうか? 直之は足元を見た。すると、まるでドラゴンのようになっている。


「あれっ!?」

「そんな・・・」


 と、そこに客がやって来た。その客はドラゴンのプリントがある長袖を着ている。客は直之に反応した。


「あっ、かっこいいドラゴンさん! 抱かせて抱かせて!」

「いい・・・、けど・・・」


 直之は戸惑っている。まさか、抱かれるとは。この客は一体、何者だろう。


「大好き大好き!」


 客は直之を抱っこした。どうやら、客はこのドラゴンが好きなようだ。


 後日、直之はこれがどんな喫茶店なのか知った。この喫茶店は、ドララーの集まるドラゴンだらけの喫茶店のようだ。ここに入社すると、ここにいる時だけドラゴンになってしまうという。とんでもない所に入ったな。

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