ある求人
ある春の事だ。直之はなかなか就職できなくて、焦っていた。高校は卒業したものの、どの企業も不採用で、両親は心配していた。このままでは就職できずに終わってしまうのではと思われていた。何が何でも就職して、両親を楽にしてやりたい。自分で道を切り開き、自分で生きていくためにも就職しないと。
直之は企業フェスタがやっているという市民センターにやって来た。ここには多くの企業が集まっていて、この求人はどうかと来場者に話しかけてくる。
「来たか・・・」
直之はため息をついた。なかなかいい企業が見つからない。見つかっても、不採用ばかりだ。どうすれば自分は就職できるんだろう。直之は不安になっていた。
「どんな求人があるんだろう」
直之は会場になった。そこには多くの人がいて、会社の関係者がいる。彼らは一生懸命、仕事をアピールしていた。自分でも頑張れる企業って、あるんだろうか? 直之は不安でしょうがない。
「すいません」
まず、直之は入り口付近のブースにやって来た。そこは鉄鋼業だ。
「あっ、どうも」
直之は用意してあるパイプ椅子に座った。
「どんな求人なのか知りたくて」
職員はパンフレットを見せた。なかなかいい所だな。でも、残業が多そうだ。定時に帰れなかったら、精神的につらくなりそうだ。
「これですか? 残業が多いけれど、アットホームで雰囲気がいいですよ。どんな仕事をしてきたんですか?」
どうやら、ここはアットホームな場所で、悪い雰囲気はなさそうだ。ここもなかなかいいな。ちょっと考えておこうかな?
「まだ初めてです」
それを聞いて、職員は驚いた。まだ就職した事がないとは。でも、ここで頑張れば、きっとできる子になると思うよ。
「そうですか! ぜひ、ここで頑張ってみませんか?」
「・・・、また考えときます!」
直之はパンフレットをもらった。今夜、家族に話してみようかな?
と、そこに男がやって来た。男は大柄で、どこか怖そうな雰囲気だけど、優しそうだ。
「すいません、この求人、どうですか?」
男は直之にパンフレットを渡した。それは、喫茶店『宝玉』の求人だ。聞き覚えのない喫茶店だな。どんな喫茶店だろう。
「あっ、これもいいですね」
直之は笑みを浮かべた。喫茶店の雰囲気がなかなかいい。ここで働いてみたいな。
「いいでしょ? みんな優しいし、かわいいですよ」
直之は魅力にひかれた。みんな優しくて、かわいいのか。今、流行しているメイド喫茶ではないよな?
「そうですか。じゃあ、来てみようかな?」
「この日に面接を行うんですけど」
それを聞いて、職員はある紙を渡した。明日、面接があるようだ。まさか明日とは。これは行かないと。
「じゃあ、お願いします」
「ありがとうございます。お待ちしております!」
というわけで、直之は明日、面接を受ける事にした。どんな喫茶店だろう。なかなか魅力的だな。
翌日、直之はその喫茶店にやって来た。そこは都内の入り組んだ所にある。少し小さな店で、人通りが少なくてひっそりとしている。ここで働くのかと思うと、少し戸惑っている。
「ここか・・・」
直之はノックをして店に入った。そこには、企業フェスタに来ていた男がいる。その男は社長のようだ。
「あっ、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
直之はお辞儀をすると、男もお辞儀をした。とてもていないな人だな。男にこの椅子に座るように勧められたので、直之は座った。
「今日は面接にお越しいただき、ありがとうございます。履歴書を見せてください」
「はい、どうぞ」
直之は書いてきた履歴書を提出した。男は履歴書をしっかりと見ている。高校を卒業してから、まだ就職が決まっていないのか。早く決めてほしいな。
「ふーん・・・、君、高校を卒業したけど、なかなか就職が決まらなかったんだ」
「はい・・・」
直之は戸惑っている。どう答えればいいんだろう。どうして決まらなかったのか問われても、なかなかその理由が見つからない。いつもこれで引っかかって、採用してもらえなかった。
だが、男は笑みを浮かべている。どうしたんだろうか?
「大丈夫だよ。君、けっこうできそうな感じだよ」
直之は信じられないような表情だ。できるのかな? 不採用ばっかりで、頼りない奴だけど、本当に大丈夫だろうか?
「ありがとうございます・・・」
直之は照れている。できそうな感じって、どうしてだろう。
「ここはですね、喫茶店に来た人の接客をしてもらうんだけど、どの人もとても優しいし、店員はみんな優しいよ」
「そうですか! ますますここに入社したいと思うようになりました!」
直之は明るそうな表情だ。それを見て、男は喜んだ。どうやらこの人は入社したいと思っているようだ。これはいけるかもしれないな。
「そっか。入ってみたいですか?」
「はい!」
直之は元気そうな表情だ。もし入社できるのなら、入社したいな。
「じゃあ、明日から入ってみますか?」
「いいんですか?」
直之は驚いた。こんな自分でも、採用してもらえるとは。とても嬉しいな。
「はい! では、明日から来てくださいね!」
「わかりました!」
まさか明日から来るとは。何はともあれ、仕事ができるんだ。仕事ができる喜びを感じないと。
「今日はありがとうございました! 明日からよろしくお願いします!」
直之はお辞儀をした。まさかこんなに簡単に受け入れてくれるとは。今までの苦労は何だったんだろうと思うぐらいだ。相性が悪かっただけだったんだろうか?
「ありがとうございます!」
面接は終わった。直之は立ち上がった。
「失礼します!」
直之は喫茶店を後にした。直之は軽やかな足取りだ。明日から仕事ができるからだ。
翌日、直之はその喫茶店にやって来た。直之は緊張している。初めての職場だ。どうみんなと接すればいいんだろう。
「ここだったな」
直之は開店前の店の裏口に入った。店員はここから入るようだ。だが、直之が入ると、そこには人間ではなく、ドラゴンがいる。これはどういう事だろうか?
「えっ!?」
その声を聞いて、ドラゴンたちは反応した。
「あら、新人さんだね」
「はい・・・」
直之は戸惑っている。まさか、ここって、ドラゴンの喫茶店なのか?
「今日からよろしくお願いします!」
と、直之は異変を感じた。足取りが重いのだ。どうしたんだろうか? 直之は足元を見た。すると、まるでドラゴンのようになっている。
「あれっ!?」
「そんな・・・」
と、そこに客がやって来た。その客はドラゴンのプリントがある長袖を着ている。客は直之に反応した。
「あっ、かっこいいドラゴンさん! 抱かせて抱かせて!」
「いい・・・、けど・・・」
直之は戸惑っている。まさか、抱かれるとは。この客は一体、何者だろう。
「大好き大好き!」
客は直之を抱っこした。どうやら、客はこのドラゴンが好きなようだ。
後日、直之はこれがどんな喫茶店なのか知った。この喫茶店は、ドララーの集まるドラゴンだらけの喫茶店のようだ。ここに入社すると、ここにいる時だけドラゴンになってしまうという。とんでもない所に入ったな。




