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エリートトレーナー霧崎

S県A群の微妙な位置にある町、黒金くろがね


その黒金町の商店街から南西約25度へ徒歩で約13分程度の場所にある黒金第二高校。


中心の一番背の高い一文字の校舎の前後にそれよりも少しだけ背の低い短い校舎が並んでいる構造の建物である。



そして、その学校の屋上。



空は薄い灰色がかった曇り空、夏の入口ともいえるべき季節であり辺りの空気は少し生暖かくどこか不快感を感じさせる。


屋上の周りをぐるりと取り囲む、落下防止の背の高い金網のフェンスに年季の入った所々に細かいヒビの入ったコンクリート作りの地面に女生徒が二人座っている。







「おかしい…」


どこか、凛とした少女の考え込むような呟く声が聞こえる。



「何がよ ? 」


今度は一体何ごとかと言った感じのどこか愛らしさの含まれた女性の声が聞こえる。


甲太郎こうたろう君だよ、メールの返事もなく、携帯に電話しても音沙汰なし…それが1週間も続いてる…」



はぁ、と溜息を吐きどこか元気の無さそうな様子で言う女学生。



赤みがかった黒髪のショートカットに顔の左半分を隠すように伸ばされた前髪、小さな輪郭の顔、大きな瞳の団栗どんぐりの様な目に綺麗に通った鼻筋。


血色のよい肌に低くも高くもない背丈にすらっとした細い体格、を黒を基調としたセーラー服、この学校の制服に身を包んでいる。


心配そうに言ったのは山音玲子やまねれいこであった。



「…多分借金で首が回らなくなって、地下の強制労働施設で脱出のかかったチンチロでもやって平和に暮らしてるとかしてると思うからきっと大丈夫よ」


亜麻色の肩のあたりまでのびている透き通ったさらりとした髪に眉の辺りで切りそろえられているように整えられている前髪、頭の右上あたりで赤いビー玉の様な装飾の付いた髪留めを使い、細く、長く結っている。


所謂いわゆるサイドテールという髪型だ、そして形の整った輪郭の顔に少し釣りがちの目に琥珀の様な茶色の瞳、小さなすっきりとした花に血色のよい薄桃色の小さな唇。


同年代の少女の中では少し高めの背丈に、出る所は出て締まっているところは締まっている女性的にめりはりのあるプロポーション、玲子と同じ制服。


面倒そうに破棄のない声で勝手な憶測を言う秋山優衣あきやまゆいだ。



「秋山さん、そんな賭博破戒録は平和でも大丈夫でもないよ…」


更に不安そうな表情と声色で言う玲子。




「第一、何でそんなに落ち込んでんのよ…加賀見かがみ君ならそのうち失くしたテレビのリモコンみたいにひょっこりでてくるわよ」


手をぶらぶらと振りながらあしらう様に言う優衣。



「何ていうかね、甲太郎君とは人間的に気が合うというか、訳のわからない共鳴感があるというか、上手く言えないけど、いつも何気なく近くに居るくせに居ないとここまで寂しいものとは思わなかった…何なんだろうなぁ、これ」


自分の中に渦巻く正体不明の感情を打ち明ける玲子、まったくどう表現すれば良いのかわからないようである。



「…惚気のろけ話なら止めて、今一番聞きたくない話題だから」


少し眉をひそめながら、不機嫌そうな顔を逸らし言う優衣。



「秋山さんこそ何か元気無さそうだけど…」


先ほどからどこか素っ気ない様子の優衣を不思議に思ったのか、何事かと問うてみる玲子。



「ちょっと色々あったのよ…お兄ちゃんと…」


少しむくれながら呟き、視線を落とす優衣。


わけあって、『お兄ちゃん』こと玲子と優衣のクラスの担任、鵜野花恭介うのはなきょうすけ教諭のマンションに同棲している彼女である。


屋上に弱い風が吹き去る、少しだけ生暖かい空気が薄くなったようだ。



「なるほどね…」


それを聞き、どこか納得したような返事をする玲子。


そして、ふぅ、と溜息を付く優衣。



「お兄ちゃんてば、最近仕事が忙しくて全然かまってくれない上に、宿直で学校に泊まるなんて言い出すから、学校を爆破しようと思って…amazonでダイナマイトを取り寄せたら、届いたのを見たお兄ちゃんに説教されて…」



んでるなぁ…色々と」



ぽつぽつと虚ろな感じで語り始める優衣に、感想を述べる玲子。



世界の全人類と『お兄ちゃん』を天秤にかけても迷わず『お兄ちゃん』を選ぶであろう彼女の事だから仕方のないことなのかもしれないが。



「そんで、私もつい言い返しちゃって…口論になった後、私がマンションを飛び出して今、ネカフェで暮らしてるってわけ…」



いつの間にか体育座りになり地面を見据えて語り続ける優衣。



「…あの、こんなことを言うのもあれなんだけどさ」



話し終えた優衣に玲子が言いづらそうに切り出す。



「今の話を聞く限り秋山さんの方が分が悪いんじゃ…」



先ほどと同じ様子で続ける玲子。




「…わかってるけど」


「でも、寂しかったんだから仕方ないじゃない」



またしてもむくれながらぼそりと呟く優衣、寂しい度に学校を破壊されてはたまったものではない。



「はぁ…」


何と答えてよいのかわからないらしく、曖昧な返事をする玲子。



「…玲子、悪いんだけどしばらく戻れないからさ、明日あたり泊めてくんない ? 」


「ちょっと出費がキツイんだ…」



少し顔を伏せ、顔色を伺うような様子で聞く優衣。



それに対し、腕を組みしばらく考え込むような仕草をする玲子、そして口を開く。





「いいけどさ…ちゃんと仲直りしなよ ? 」



優衣の方をまっすぐと見据え、いつもの凛とした声色で言う玲子。



「…うん」



それに対し、素直にうなずく優衣。




「…あっ、あと」



思い出したような顔つきで玲子が言い出す。



「甲太郎君について知ってることがあったら教えてくれないかな ? 」


そして、甲太郎についての情報を聞き出す玲子。

















いわお君に秋山さんに鵜野花先生も甲太郎君については何も知らないとなると…」



「最後はこの人、か…」






空は相変わらずの曇り空、学校が終わった玲子が立っているのは黒金町の商店街、カップラーメンを作った後に器に移しただけともっぱらの噂の、全国チェーンのラーメン店『カップメン』と小さな古ぼけたカラオケ店の間の少し狭いスペース。


ひっそりと佇む青い文字で『たとえどんな症状の方でも診察いたします』と書かれた玲子の腰の辺りまでの背の高さのスタンド看板。



そのスタンド看板のすぐ前に地下へ下りるコンクリート作りの古びた地下通路がある、階段や壁に所々ひびが入りくもの巣が張っている場所もあるかなり年季の入ったように見ることもできる地下通路である。


その先通路の先にある古びた扉。


その扉の先こそが玲子の知り合いの居る『霧崎クリニック』である。



玲子は真っ直ぐと階段を下り、まだ明るい時間帯にもかかわらず薄暗い短いコンクリートの通路を進み扉の前に立つ。


そして、ドアノブに手をかけゆっくりと取っ手を下げて扉を開き中へ入る。



「…霧崎さん、いますかー ? 」



覗き込むようにドアの中へ入る玲子。



中には得体のしれない大小様々な機械の数々、床を這う無数のコードに診察用のベッド、来客用の黒いソファに背の低い広い机。


そんな部屋の中の何やら得体のしれない巨大な卵型のガラスのカプセルの様な機械の前に、この『霧崎クリニック』の主、霧崎李沙紀きりさきりさきはいた。



肩のあたりまで伸ばされた青みがかった黒い髪に白い肌、細い切れ目にフレームの無いどこか知的な感じのする眼鏡、口元に白い大きなマスクを付けていて鼻の少し下を覆うようにしているため顔がわかりづらいが整った顔立ちである。


高めの背丈にぱっと見ても女性であることがわかりやすいスタイルに清潔感のある水色のカッターシャツに黒いネクタイ、灰色の短いスカートを穿いていてその上から大きな白衣を羽織っている。


年の頃は20代中盤から30歳ほどとうかがえるどこか知的な雰囲気のある女性だ。



「…あら、玲子ちゃん」



振り向き、少しだけ驚いたように言葉を発する霧崎。



「あの…今日はちょっと聞きたいことがあって来たんですが、大丈夫ですか ? 」



「ああ、『これ』の調整がもうちょっとで終わるから待っててもらってもいいかしら ? 」



どこか様子をうかがうようような口調で霧崎へ聞いてみる玲子と再び機械へ向き直り落ち着いた声で答える霧崎。



「あ、はい」



「悪いわね、本当にすぐ済むから」



こうして玲子は少しだけ待つことになった。




「…これでよし」


少し嬉しそうな声で呟く霧崎、少し腰を落とし屈むと卵型の機械のちょうど右下にある黄色いボタンをぽちり、と押す。



すると、ガシャン、と重そうな音がし、卵型の機械が真っ二つに割れるように半分がふたの開く様な感じで上へと上がっていく。


そして、機械の中からまるでドライアイスに水をかけたような真っ白い煙とともに一人の人影が立ち上がり機械から出て部屋の床へとぺたりと立つ。





そこから出てきた人影は真っ黒い耳の隠れそうな程の長さの黒い髪に眉あたりまである前髪、まるでハリネズミの様な鋭い後ろ首を隠した後ろ髪。


高い背丈に中々に筋肉質な体型、上半身は裸でその上から真っ黒い学ランを着ており、裸の上半身の腹や胸に所々切り傷が見られる、下には真っ黒い玲子の学校の男子生徒の穿いているズボンを穿いている。


そして、顔には輪郭に合わせたような真っ黒に塗装された金属の様に固そうに光る仮面が付けられている。



真っ黒い仮面を除けば玲子が探している人物、加賀見甲太郎かがみこうたろうその人である。




「…ついに完成したわ、『改造人間コータロー』」


腕を組み、どこか嬉しそうな顔を隠すように少し顔を伏せながら小さな声で言う霧崎。



「それで、玲子ちゃんの用事って言うのは…」



「いえ、もう自己解決しました…」



思い出したかのように振り返りいつもと同じ声色で言う霧崎と何とも言えない気分で答える玲子。













「霧崎さん…」



「何かしら ? 」



「これ、甲太郎君です、よね ? 」



玲子が機械から出てきた人物を指さし霧崎へ質問する。



「いいえ…それはもはや既に過去の名よ」






「今の彼は『改造人間コータロー』…」



腕を組み、玲子の方を向きながら答える霧崎。



診療所の中に少しの沈黙が走る。



聞こえるのは部屋に置かれた無数の機械の駆動音や時折コータローから発せられる「コー…ホー…」という呼吸音だけである。


コータローは何も言わず、ただただそこに黙りこくり、たたずむだけだ。





「ね、ねぇ…甲太郎君は今まで学校に行かずにここにいたの ? 」


少し、どぎまぎしつつも何も言わない甲太郎へ顔を向けて言葉をかける玲子。





「…無駄よ」


「…えっ ? 」



「コータローが決して喋ることは無いわ、この私の付けているこの『コントローラー』からの指示を理解して命令を遂行するだけの冷酷な戦闘マシーンよ」


白衣の袖をまくり、手首の少し下あたりについた銀色の腕時計のような液晶画面の付いた機械を玲子へ見せる霧崎、まるでジャイアントロボである。


あわれ、まるで悪の組織に洗脳されてしまったような加賀見甲太郎だ。



「…一体、何故なぜこんなことを」


口元に両手を当て、目を大きく見開きショックを受けた様子の玲子。



「どうしても、倒して勝たなければいけない相手が居るのよ…」



真剣味の含まれた声色で答える霧崎。



「…これからその『コータロー』の最初で最後の初陣ういじんなのだけれども、玲子ちゃんも見に来るかしら ? 」


そして、玲子を決戦の場所へと誘う霧崎。






3人は神社に向かうために商店街を歩いていた。


通行人や買い物客、店の店員が一斉に3人へと視線を向けている。



正しくは『改造人間コータロー』へ向いている視線である。



背の高い上半身裸でその上から学ランを羽織った鉄仮面が黙々と歩いていれば仕方のないことなのだが。


そして、その後ろに玲子と霧崎が並んで歩いている。



「…ねぇ、霧崎さん」



腰の辺りで手を組みながら歩く玲子が尋ねる。



「なにかしら ? 」


「これが終わったら、甲太郎君はちゃんと元に戻るんだよね… ? 」



少し顔を傾け玲子へ視線を向ける霧崎に心配そうに聞く玲子。



「…ええ、ちゃんと元に戻しておくつもりよ」


前を向き歩きながら答える霧崎。



「…そっか」



そして、その返答にどこか嬉しそうに歩きながら言う玲子であった。











黒金町の商店街より南西へ徒歩30分ほどの位置にある神社。



本殿の前にある大小さまざまな石の混じった土の地面の大きな円形に切り開かれた場所、周りは大きな木々の目立つ森になっている。


時間は夕刻、曇り空のせいで薄暗くどこか不気味な感じもする。





そこへ続く長い階段を上り終えた三人、玲子と霧崎の目に横一列にならんだ小さな人影と巨大な人影が映る。




小さな人影のほうは黒い綺麗な髪を左右で結っていて、筆のような形をした短いツインテールが触覚のように左右へと飛び出している。


小さな顔に小さな口、小さな鼻に大きな釣りあがった黒い瞳の目にどこか知的な感じのするフレームのない眼鏡のどこか愛らしさのある幼い顔。


小学四年生ほどの女子児童の背丈に体格を黒金第二高校の制服に身を包み、上から裾を引きずってしまいそうなほど大きな白衣を羽織っている。



巨大な人影は大男であった。


角刈りの黒い髪に浅黒い肌、太い眉にどうみても30代の男性と思わしき顔つきに爽やかな笑顔を浮かべている。


2メートルはありそうな高い身長にまるで山のような筋骨隆々とした体つきに白いランニングシャツの上から甲太郎と同じ学ランに学校指定のズボン、腰には楕円形の銀色の大きな飾りの中心に大きな丸い渦を巻いた飾りのついた、ヒーローの変身ベルトのような大きなベルトを巻いている。



霧崎の妹にそのパートナーの『超人』である。




「コータロー、ストップ」



霧崎が腕時計型のコントローラへマスクに包まれた口元を近づけ、指示を出す。



すると、コータローがぴたり、とその場に止まる。




姉様ねえさま…来たわね」



愛らしさの含まれた声で呟く霧崎の妹。




「…霧崎さん、あれは ? 」


霧崎の隣に並んだ玲子が聞く。



霧崎知恵きりさきちえ、私の妹よ」



少しだけ玲子へ視線をやり、質問へ答える、そしてここで明らかになる霧崎の妹の本名。



「…まさか、霧崎さんに妹さんがいたとは…」


目を見開き驚いた様子で呟く玲子。






「ほぉ…こないだの『超人』を改造して持ってきたわけか、懲りないなぁ」


「35回も私に負けてるあなたの口から『懲りない』という単語が出るとはね…」


どこか、馬鹿にするような余裕そうな口調で腰に手を当てながら言葉を発する知恵、それに冷静に言い返す霧崎。



「つまり、霧崎さん達は姉妹で争っていたんですか」


「まあ、ちょっと厄介な『約束』をしちゃってね…」



質問する玲子に面倒そうに答える霧崎。


「もしも、知恵が私と『科学的』な戦いで勝利したら知恵の夢である『世界征服』に部下として協力しなきゃいけないのよ…」



「霧崎さんそのときは是非、私を幹部として迎え入れてください」



「…まあ、考えておくわ、もっとも私があのちみっちゃいのに負けたらの話だけれど」



「ちみっちゃいって言うんじゃねぇーっ ! 」



霧崎ならば『世界征服』をやりかねないと考えたのかそう発言する玲子、それに対し負けるつもりはないのか冷静に言う霧崎、そして『ちみっちゃい』に反応し小刻みにぴょんぴょん飛び跳ね悔しがる知恵。



「ま、ごちゃごちゃやってても何も始まらないし…」


「そろそろ始めない ? 」


飛び跳ねる知恵へ向けて少し大きめの通る声を発する霧崎。



「ちなみに勝負の内容って言うのは ? 」


霧崎へこの勝負がどういうものなのか詳細を聞く玲子。



「お互いの『超人』を強化なりカスタマイズなりして戦わせるって内容ね、先に気絶したほうの負けよ…」



「なんかメダロットみたいですね」


勝負の内容とルールを説明する霧崎と、それに対する感想を語る玲子。




「…わかった、今度こそ姉様の最後だ」


真剣さのこもる声で霧崎をしっかりと見据えて言う知恵。



「コータロー、スタンバイしなさい」



コータローへ準備をするように指示を出す霧崎。



バッ !



と、風を切る音が鳴り霧崎の言葉を聞かずに大男めがけて駆け出そうとする甲太郎。



「…っ ! コータロー ! ハウス !」


少しあせった様子で『コントローラー』を使い指示を出す霧崎、今度は指示が通じたのか、コータローは大急ぎでUターンし霧崎の目の前で立ち止まる。



「ふう、時間的に間に合わなくて少し無理にし進めたせいか、精神的に高揚こうようすると指示が伝わらない時があるみたいね…」


コントローラーを見つめながら呟くように言う霧崎と物凄いスピードで風を切りながらシャドーボクシングのように空中を切るように拳を振り回し暴れているコータロー。



「…じゃ、スタート」



見かねた知恵が開始の合図をする。




開始されるや否やの瞬間に再び矢のように飛び出すコータロー。


「…む」


思わず驚きの声を上げる大男、コータローの走る速さが1週間前と比べものにならないほどの速さになっているのだ。


しかし、気づいたころにはすでに遅くコータローは大男の目前に立っていた。


すかさず、コータローへ掴みかかるように近づく大男、少し腰を落とし両手を突き出しコータローの襟首えりくびへと狙いをさだめる。



「…コー…」



「何っ !」



呼吸音とともにコータロは飛び上がりまるで足場にするかのように突き出された腕の上に立ちさらにそこから飛び上がる。


大男が気づいたころにはコータローは肩車のようにその肩の上へと乗っている、そして右足を折り曲げ左足の太ももの辺りで交差させ力をこめる、大男の首を完全に締め上げている形だ。


「ぐっ…」



少し、苦しそうにうめく大男、しかしコータロー次の動作、手の甲を正面へ向けるようにひじを曲げ、腕を振り上げ





思い切り大男の頭を目掛け振り下ろす。



ガッ !


と鈍い音がコータローの肘と大男の頭頂部のぶつかった部分から響く。



ガッ ! ガッ ! ガッ !…



と、鈍い音が休まずに更に続く、コータローが攻撃の手を休めず左右で肘鉄ひじてつを作り交互に振り下ろしている。



「コー…ホー…」



一向に緩まないコータローの攻撃と呼吸音、それを受け、苦しそうに表情をゆがめる大男だったが力を振り絞り、背中に乗っているコータローの腰の左右ををがっしりと両手で掴む。


そして後ろに倒れこむ大男、肩車の状態でコータローを地面へと叩きつけようとしたのだ。



「 ! 」



しかし、その攻撃をすぐに察知し首を絞める足を離し、攻撃を止めてすかさず大男から飛び降り回避する。




ドシン !



倒れこむ音が鳴り響く、倒れたのは大男だけでコータローは間一髪で抜け出し少し離れた場所で立っている。




呂辺瑠斗ろべると、大丈夫 ? 」



少し心配そうに駆け寄る知恵。



「…なるほど、この間のあの彼とは一味違うってわけか」


ゆっくりと起き上がりながら言う大男。



「ならば、この花塚呂辺瑠斗はなづかろべると本気でお相手いたそう…」



口元を吊り上げにやりと不敵な笑みを浮かべ名乗りを上げ、まるで熊のように両手を広げる、つい1週間前に甲太郎と戦ったときにやった構えである。



「…コー」


それに答えるよう呼吸音を出し、左腕を腰に下げ、右腕の拳を突き出し戦闘態勢をとる甲太郎。



そして、構えるや否やの瞬間にはすでに呂辺瑠斗の眼前に立ちはだかり殴りかかるように振りかぶる体勢を取っている甲太郎。



「まったくもって、馬鹿の一つ覚えっ ! 」


振りかぶる体勢の甲太郎の腹と腰をいとも簡単に手のひらでつかむ呂辺瑠斗、そして間髪いれずに頭上へと持ち上げる。



「 ! 」


気づいたころにはすでに上空、コータローは驚いたようにじたばたともがき、暴れる。



「抵抗しても無駄だ、私は『アイアンクロー人間』…掴んだものは…」



コータローを掴んだ腕に力をこめて、振り上げ。




「絶対に離さんっ !」



甲太郎を地面へと投げつける。







グシャリ ! 、と体の右側面から地面へと叩きつけられるコータロー、地面に接触する瞬間に物凄い音が鳴り響く。


そして、仰向けにばたりと地面に倒れるコータロー。




「霧崎さん ! 甲太郎君は大丈夫なんですか !? 」



それを見た玲子が焦り大きな声で驚いたように言う。



「…ええ、まだよ」



霧崎がいたって冷静に腕についた『コントローラー』を眺め返答する。




すると、地面に真っ直ぐに倒れたコータローがごろごろと丸太のように転がり再び呂辺瑠斗から離れた場所で立ち上がる。




「何っ ! 」



「馬鹿な…この間は一撃で終わったはず…」



思わず驚く二人、普通ならば立ち上がるのも困難な攻撃にまるで何ともないように立ち上がるコータロー。




「彼…コータローには『痛い』とか『苦しい』とかいった感情はほぼ無い物だと思ってもらってもいいわ…」



驚く二人へ、眼鏡を右手のひとさし指でくい、と上げながら言い放つ霧崎。



「…どういうことだ」


苦虫を噛み潰したような表情で霧崎を見据えて言う知恵。





「『エンドルフィン』…人間が食欲や性欲を満たす際に脳内で分泌されるホルモン物質よ」


ぽつり、と語り始める霧崎。



「分泌されると快感を感じさせて鎮痛作用のある物質、それを食欲や性欲でなく『戦う事への欲求』を満たすことへ向けさせるように『洗脳』したわけ」



微かに顔を上げ冷静な口調で言い終える霧崎、もはやどちらが敵かわからなくなりそうな発言である。



そして、相変わらず真正面で殴りかかる甲太郎、掴みかかろうとする呂辺瑠斗の腕を回避しくぐり素早い拳速の拳を繰り出す。



しかし、呂辺瑠斗の腹には鉄板でできた鎧が仕込まれているために全くダメージがないのだ。


そんな戦いを繰り広げている。



「…霧崎さん、ということは今は甲太郎君が完全に有利ってことなんですか ? 」


「まあ、そうとは限らないのよね…これ」



霧崎は玲子へと近づき腕のコントローラを見せる。



「コータローも一応、耐久力は普通の人間と同じだからいつかは力尽きるわ」


液晶画面に『HP』と表示された液晶文字の横に320/400とある、恐らくそれがコータローの耐久力なのだろう。



そんな霧崎達をよそに戦っているコータローに変化が起きた。



カシャリ



と、コータローの真っ黒な仮面の口元が開きまるでにやけるように笑っている口のような真っ赤な部分が現れる。



「…霧崎さん、あれは ? 」



「『コータロースマイル』…」



先ほどと同じように呟くように言う霧崎。



「脳内物質に『ドーパミン』というものがあるの、意欲が出ている状態だったり喜んでいる時だったりに気分がハイになるのはその物質のせいね」


「つまり、甲太郎君にまだ何か『洗脳』を施していたと…」



「ご名答、コータローがハイになってやる気に満ち溢れているときに出る信号みたいなものよ、あれは」



そんな話を続け、コータローを見守る二人、先ほどよりも動きが軽快になっているような気もするコータロー。



相変わらずの掴みかかろうと試行錯誤する呂辺瑠斗と避けながら効果のないパンチを繰り出すコータローのいたちごっこである。



しかし、そこへ変化が現れる。



呂辺瑠斗の足払いにコータローが掛かってしまい、腕を広げ、こけそうになったところをつかまってしまったのだ。




「知恵 ! あれを使うんだ」



コータローの広げた両腕掴んだ瞬間に知恵へ大声で伝える呂辺瑠斗、何かをするつもりらしい。


「しかし…あれはまだ未完成…」



「構わんっ ! これで決める !」



言いよどむ知恵に催促する呂辺瑠斗、どうやら『あれ』とやらを使うには知恵の力が必要なのだろう。


それを聞いた知恵が自分の白衣の内ポケットから何かを取り出す、手のひらに乗るくらいのサイズの薄い灰色の箱に真っ赤なボタンの付いたものだ。



「…頼むっ」


そして、祈るようにぐっと目を閉じると親指でボタンをぽちり、と押す。



すると、コータローを掴んだ呂辺瑠斗の腕に微かに電流が走った。


背後にあるバッテリー、前日に甲太郎が放電を使ったときに特殊なプロテクターで吸い取った電力を溜めておいた物からコードを使い微弱な電流を腕へと流したのだ。


医療療法でも使われている方法であり、微弱な電流を流すことにより筋力を強化したのだ。




「よし…腕に力がみなぎってきた…」


にやり、と顔へ笑みを浮かべる呂辺瑠斗、どうやら機器の作動は成功したらしい、それがわかると掴む手のひらに更に力を加える。


ブォン ! ブォン !…


と、まるで風を切るような音が響く、自らの体全体を振り回すように、まるで独楽こまの様に回転する呂辺瑠斗、腕を掴まれたコータローの体が浮き上がりまるでうつ伏せで空中に寝ているような体勢になってしまい、ぐるぐると回っている。


徐々に二人の回転する速度が上がり、まるで木工用の丸のこぎりのように物凄い速さで、呂辺瑠斗を軸に回転する。






「これで、終わりだ…」




回転する最中にまるで底冷えするような声で告げる呂辺瑠斗、そして頃合を見計みはからい自らの体を傾ける。





ドシャッ ! ミシッ…





そして、コータローとともに地面へ倒れこむ呂辺瑠斗、コータローが地面へ叩きつけられる瞬間に地面に接した音、コータローの骨から聞こえる悲鳴のような骨折音があたりへ響いた。


そして、まるでバウンドするように地面を跳ね、再び地面へどっ、と倒れこむコータロー。



そして、ぴくりとも動かなくなる。





「甲太郎君っ !」


それを見た玲子が思わず大声で叫ぶ。



ピーッ !




突如、甲高いアラーム音のような音が鳴る。



「まずいわね…」


霧崎が腕の『コントローラー』の液晶を見つめ、眉をひそめ少し焦りの混じった声を出す、霧崎の腕の『コントローラー』の液晶に表示されたコータローの耐久力が0/400と表示されている。



「コータローが戦闘不能になるなんて…」


先ほどと同じ声色で呟く霧崎、焦りが増しているのか口元に手を添えている。



「うふふふふ…」


その様子を見た知恵が顔を伏せ、不気味に笑う。



「あーっはっはっはっはっはっは ! また勝った ! 姉様に勝った ! 」



叫ぶように大笑いし狂喜乱舞するように飛び跳ねる知恵。



「はっはっは ! 」


呂辺瑠斗も先ほどの底冷えする声はどこへ行ったのやら、朗らかな声で笑いボディービルダーのようなポーズで勝利を喜んでいる、かっこいい。



「甲…太郎君…」



まるで死んだかのように力を失い仰向けに倒れた甲太郎へ大きく目を見開き絶望に打ちひしがれたような表情で見つめている玲子。



まるで隕石が地面に衝突したような、そんなイメージを持たせるような攻撃だ、下手をしたら死んでいてもおかしくはない。













パチリッ…




微かな炸裂音があたりに響く。




「… ! 」


「… えっ! 」


「… あっ! 」


「… まさかっ! 」


驚愕の声と表情の連鎖がおきる、その場にいる全員の視線が一斉にコータローへ向く。





バチッ ! バチバチバチッ !



倒れているコータローの全身からまるでまとうような電流が流れる。




「…なんでっ ! なんでっ ! 」




驚きを通り越し、瞳孔が開かれた恐怖の表情で震えながらコータローを指差し甲高い声で叫ぶ知恵。






指を差した先には、右腕で上半身を支え起き上がろうとしているコータローがいた。



バチバチッ ! バチッ !



相変わらず全身を不規則に所々で青白い電流が這い回るように走る。



「…甲太郎君っ !」


玲子が、嬉しそうな叫び声をあげる。



「…なんだ、あれは」


驚いたように目を見開き、頬に冷や汗を浮かべ呟き声を出す、呂辺瑠斗。



「…ありえない、コータローの耐久力は既に限界よ…安全のために限界を迎えれば絶対に立ち上がらないようにプログラムした、私の命令もシャットアウトされるはず…」



真剣な眼差しでコータローを見つめて独り言のように呟く霧崎。






バチッバチバチッ !



電流を全身に纏ったコータローがついに立ち上がる、少し猫背の姿勢で真っ黒な鉄仮面で覆われた顔をうつむかせてその場に立っている。





コツッ




コータローが右足を出し一歩、前へと出る。



まるで、地響きでも起きそうな迫力だが、あたりはしん、と静まり返っている。




バチチッ ! バチッ !



コータローの電流が鳴り響く。



コツッ



また、コータローの歩む音、一歩ずつ前へと歩んでいく、そして、その向かう先は。








「わあっ ! なんでこいつ私のとこへ向かってくるんだっ !」



知恵の方向である。





コツッ




更に歩を進めるコータロー、ゆっくりではあるが確実に知恵の方向へと向かっている。



「わぁっ ! バカっ ! こっちくんな !」



恐怖のあまりその場に尻餅をついてじたばたと暴れる知恵。




そして、コツッ、という足音と体を流れる電流の炸裂音を響かせ更に近づくコータロー。




「…くっ ! 」



玲子がスカートのポケットからなにやら取り出す、それは銀色のアルミの薄っぺらい包装に包まれた薄い赤と白色で構成されたカプセル状の薬が4錠分ほどのものだ。



「…駄目よ、玲子ちゃん」


背後から抱きとめるように自らの手を交差させて玲子の手を押さえる霧崎。



「しかし、このままじゃ彼女が…」



後ろを振り向き、抱きとめる霧崎へと訴えかける玲子。



「いいから、少しだけ様子を見ましょ…」


真剣味のこもった声でさとすように玲子へと伝える霧崎。









状況は変わらず近づくコータローだったが、一定の場所まで近づくと変化があったのだ。


右腕に拳を作り、そして、手のひらが一際ひときわ大きな音で炸裂音を奏でる、まるでその部分が真っ白な閃光を放つように真っ白にまぶしく輝く。




コツ、コツ、コツ…


突然、知恵へと進む速度が速まる。



「うわぁっ ! なんかスピードアップしたっ !」



相変わらず腰が抜けて動けずにわめき散らす知恵。





「…くっ、いかんっ ! 知恵っ ! 」



少し圧倒されほうけていた呂辺瑠斗が我に返り叫ぶと腰についたコードをぶちり、と抜き取りコータローへ向かって飛び出していく。




「うおおおおおおぉぉっ ! 」



まるで獅子のように吼えながらコータローめがけて右手に拳を作り、腕を弓のように引き、力をこめて飛び込んでいく。






ドォンッ !






そして、鈍い打撃音の後、腕を伸ばし切り拳を突き出す呂辺瑠斗とその拳が顔面の真正面に突き刺さったコータローがその場に立っていた。




「ぐ…ぅ…っ ! 」


冷や汗をかき、うめく呂辺瑠斗。



全力の拳がコータローに決まった、しかしコータローは微動だにしていない、まるで巨木のようにその場に立ち尽くしている。




「…何ともないの ? 」



ひるみも倒れもしないコータローに驚いたように呟く玲子。





そして、拳が突き刺さったままのコータローが光り輝いた手のひらの右腕をゆらゆらと振り上げる。


その間も光り続ける拳。




すっ



と、力なく振りかぶられる拳。



コータローと呂辺瑠斗の間の距離は約、腕一本分その間をコータローの腕が力なく空を切るが。






ぐおっ !




そんな轟音ごうおんが鳴り響く。




「…うっ…ぐおおおおおっ ! 」


苦しそうな叫び声を上げる呂辺瑠斗。





ギュルルルルルルル… !


物凄い金属をドリルへ接触させたような音が響き、いつの間にか呂辺瑠斗の腹部に拳の形をした光り輝く塊が物凄い勢いで回転し、その腹をえぐっている。




その塊は先ほどコータローが自らの手に生成した超高圧の圧縮された電力の塊である。




「…っ !おかしい、甲太郎君の出せる電力には限界があったはずっ ! ここまでの電力の放出はできない ! 」


その様子を見た玲子が霧崎に抱き寄せられながら驚いたように声を上げる。




「原因は知らないけど…これは恐らく『無意識』の力、まさか甲太郎君にここまでの『潜在能力』があったなんて…」



玲子を抱き寄せながら呟く霧崎。






ギュイイイイイイイイッ !



未だに続く回転音に回り続ける超電圧の塊、時々鉄のプロテクターをへこませるべこり、という音が聞こえる。




「ぐうぅうううううっ !」


突き刺さる電圧の塊に苦しそうな表情で踏ん張り、立っているのもやっとと言った様子の呂辺瑠斗。





バチィン !


突然、電圧の塊が少し膨らむと一瞬にして形が崩れ、耳をつんざく破裂音とともにはじける。



大きな閃光になり辺りを眩しく、真っ白に染まる神社。




「うおおおおおおおっ !」



そして、呂辺瑠斗の叫び声が当たり一面に響いた。





閃光が晴れると、呂辺瑠斗がまるで突風で背後に吹き飛ばされたように中に浮いていた。



ドサリ !




と、次の瞬間には呂辺瑠斗の体は地面に落ち、仰向けに倒れ白目をむいてぴくりとも動かない。





ドサッ !



次に、その呂辺瑠斗の姿を確認し安心仕切ったかのようなコータローが糸の切れた操り人形のようにその場にうつ伏せに倒れこむ。







「呂辺瑠斗っ ! 」



「…甲太郎君 !」



尻餅をついていた知恵が我に返り、起き上がって呂辺瑠斗へと駆け寄る、そして、玲子も霧崎から体を離し、倒れこんだ甲太郎へと駆け寄った。














「…良かった、生きてる」



倒れこんだコータローを裏返し、胸へと耳を当て心音を確認し安堵の声で呟く。



「こっちも、大丈夫だ…」




こちらも安心し切った様子で呟く知恵。



「なるほど、あのプロテクターを貫通させて電撃を通したのね…」



遠目から呂辺瑠斗を見つめ、この勝負の分析をする霧崎、呂辺瑠斗の腹部のランニングシャツが破け中の鉄のプロテクターはへこみ、ひびが入っていた。



鉄のプロテクターのおかげで何とか奇跡的に死なずにすむ程度の威力に落ちたようだ。





「…さて」



腕を組み、いつもの知的な口調で言う霧崎。




「確かルールでは『先に気絶させたほうの勝ち』だったわよね…」


霧崎が知恵へ向けて言い放つ。



「うぅ…」


呂辺瑠斗に寄り添い、しゃがんでいる知恵が悔しそうにうつむいてうめく、目に少しだけ涙が浮かんでいる。



僅差きんさではあるけど後に倒れたのは甲太郎君のほうだものね…」


確認を取るように知恵へ向けて言葉を発する霧崎。


「うぅ、負けた…絶対勝てると思ったのに…」



それを聞き負けを認め泣きじゃくる知恵。






「次は絶対勝ってやるーっ ! 」



「もういい加減にしてちょうだい…」


空に向かって叫ぶ知恵に呆れた口調で言う霧崎。







こうして37回目の姉妹対決は幕を閉じた。
















そして次の日の朝、黒金第二高校の二階の廊下。


「…」


上機嫌な甲太郎が廊下を歩いていた、改造されていた間の記憶の変わりに霧崎がハワイへ旅行へ行った記憶を変わりに植えつけたからである。




「あ、甲太郎君…」



そんな甲太郎の背後から凛とした声が聞こえ、振り返る甲太郎。



「お、よう」


上機嫌そうに右腕を挙げ返事をする甲太郎に玲子は駆け寄って隣に並ぶ。




「えと、甲太郎君、ハワイは…どうだった ? 」



「おお、まるで生きたまま天国に行ったみたいな気分だったぞ」



恐る恐る聞く玲子に上機嫌で答える甲太郎、現実世界ではまさに地獄であったとは知りもしまい。



再び上機嫌に廊下を歩く甲太郎に隣を並ぶ玲子。




「甲太郎君」



「…おかえり」






隣で小さく優しくささやく様に嬉しそうな口調で呟く玲子。






「あん ? なんだって ?」



「…ん、なんでもないよ」



聞き返す甲太郎へそう答える玲子。




そして、再び廊下をゆっくりと歩き続ける二人であった。




名前/花塚呂辺瑠斗/超人種類/アイアンクロー人間/特殊機能/掴むことに特化した手のひらと握力に豪腕                                      名前/コータロー/超人種類/改造人間/特殊機能/悪の科学者Dr.霧崎に改造され人間の心を失った悪魔超人、ものすごく強いぞ!




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