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第4話

平生、正義だと信じてきた信念は、一体どこまで有効なのだろうか。

刃と刃が交わる中で、エヴァンはいつの間にか冷ややかな疑念に囚われていた。


廃坑に仕掛けられた罠、そして別の勢力の暗い手。

全ては仕組まれたものなのか、それともさらに深い何かが動いているのか。


そして、静かに忍び寄る不吉な予感――

その果てで、エヴァンは気付かぬうちにもう一つの真実へと近づいていくのだった。

第4話


エヴァンの短剣が赤い司祭の首に届く直前、高速で近づいてきた別の赤い司祭服を着た者の剣に阻まれた。

「少し偵察していたら、目標が自ら来たな。」


エヴァンは素早く距離を取った。

剣を持った赤い司祭は剣を鞘に収めながら言った。

「私の名前はクリムゾン、至高にして全能なる神の言葉を聞き従う者だ。」


クリムゾンはしゃがみ込んだ赤い司祭を見て言った。

「兄弟よ、そなたはもう退け。お前の腕では10cm先で銃を撃ってもかすりもしないだろう。」


その言葉を聞いて赤い司祭は素早くその場を離れた。

その後クリムゾンは強い殺気を放ち、エヴァンはその殺気に思わず肩をすくめながら言った。

「お世辞が過ぎるな。いくら俺でも10cm先で銃が発射されたら避けようがない。」


クリムゾンが剣に手を置き、戦闘態勢を取りながら言った。

「そうだな、“発射”が可能なら、だがな。」


クリムゾンは言い終わるや否や抜刀し、猛烈に突進した。

エヴァンは身体を捻って高速で抜かれた剣を避けた。

続けて拳銃を取り出し、クリムゾンの背後へ移動して発砲した。


一瞬、エヴァンが拳銃を取り出したのを見たクリムゾンは後ろも見ずに腰に差した鞘を傾けて弾丸を弾き返した。

「報告で聞いていたより腕は大したことないな。誇張が過ぎたか。」


その時、エヴァンが手に巻いていたワイヤーを強く引っ張った。

ワイヤーの先に結ばれていた短剣がクリムゾンの左腿を深く切り裂き、エヴァンの元へ引き戻された。


クリムゾンは一瞬たじろぎ、戦闘態勢を整えた。

「くそっ、油断したな…銃を取り出す動作は囮だったか…小賢しい。」


クリムゾンは再び抜刀して突撃した。

クリムゾンの剣がエヴァンへ斜めに軌跡を描いた。

エヴァンは素早く短剣でクリムゾンの剣を受け止め、

内側に潜り込んでリーチの長い剣より優位に立った。


エヴァンが短剣でクリムゾンの心臓を突こうとした瞬間、クリムゾンは左手で鞘を持ち上げて防御した。

続けてクリムゾンは距離を取りながら言った。

「くっ…認める、身体能力や判断力は老練だな。だが技術が雑だ。武術というより喧嘩を習ったようだな。その程度がお前の限界だ。」


クリムゾンは抜刀ではなくその場で剣を抜き、両手で握った。

「元々の任務は貴様の腕を計ることだったが、その価値もないと判断した。神が計画されたことに貴様は不要のようだ。即座に抹殺する。」


クリムゾンは非常に素早く左足を踏み込み、剣を突き出した。


-約20年前、エヴァンが7歳の頃-

ヨハンがエヴァンに言った。

「そろそろ肉体鍛錬もある程度成果が出てきたな。これからは戦闘訓練をしよう。」


二人は山奥へ入って行った。

どれくらい歩いただろうか、広い空き地に出た。

ヨハンが汗を拭きながら言った。

「ここがちょうど良さそうだな。さあ、かかってこい。」


エヴァンは戸惑いながら言った。

「おじさんふざけてるの…!?戦い方も教えずに..!せめて武術くらい教えてくれてもいいんじゃないですか?!」


ヨハンは朗らかに笑いながら言った。

「武術は人間を殺す方法を体系化し、一つの型にしたものだ。つまり効率よく体の使い方を学ぶ良い手段さ。」


「だからそういうのを教えてって言ってるんです..!!」


ヨハンはくすっと笑って『ハハハ!』と言い、続けた。

「逆に言えばスタイルが決まっているから、決まった型から外れられない戦い方ということだ。エヴァン、お前が大きくなって探偵の仕事をしていけば、俺レベルの奴らとも命をかけて戦うことになる。俺くらいの奴なら3合で武術の特徴を見抜き、次の動作を予測できる。」


ヨハンは拳を掲げながら言った。

「逆に型のない戦いは動きを読みづらい。本能で動け。癖を意識的に消して相手を真似し、数多の道具や地形を活用しろ。お前の武器は手足だけじゃない。目に見えるもの、手に取れるもの全てがお前の武器だ。」


そうして二人の無規則な戦いが始まった。

ヨハンはエヴァンの軽い拳を避けながら言った。

「人と戦っているということを忘れるな。結局同じ骨格を共有する人という形をした以上、動きのメカニズムは同じだ。」


ヨハンは拳を突き出すエヴァンの胸を軽く押しながら言った。

「重心を後ろに引きながら強い攻撃をするのは不可能だ。つまり強い攻撃をしようとすれば重心は前に向かう。だから戦いの中では相手の足をよく見ろ。必ず強い攻撃にはそれに先んじて足が動くはずだ。」


...


エヴァンはクリムゾンの左足の動きを捉えて身体をわずかに捻った。

クリムゾンの剣は大きく空を斬り、その反動でクリムゾンの重心は過度に前へ傾いた。


ある程度の境地に達した者は、わざわざ未来を見ずとも自らの最期を感じ取ることができる。

そのためクリムゾンには死という恐怖が押し寄せた。


0.3秒ほどの非常に短い隙。

クリムゾンは素早く視線を向けてエヴァンの攻撃に備えたが、エヴァンは短剣でクリムゾンの右腕の靭帯と筋肉の束を容赦なく切り裂いた。


クリムゾンは素早く距離を取り、剣を左手で握った。

「くそっ..! 右手はもう駄目だが、致命的な失策だエヴァン。首を狙うべきだったな!!」


クリムゾンは左手で剣を強く握り込み突進した。

「認めよう、お前は強いが、まだ経験が足りない!! ここで死ね!!」


エヴァンは剣を握ったクリムゾンの左手を掴んで言った。

「やっと大体分かったぞ。お前ら逆十字教は正教会と新教会の対立が深まったんだな。そうでなければ政府所属の探偵を襲ったりはしない。じゃあお前は正教会所属だな。新教会は完全に政府に付いたからな..正教会と新教会の対立は知っていたが、ずいぶんと過激なことをする。」


エヴァンはクリムゾンの左手の靭帯も容赦なく切り裂きながら言った。

「どう考えても時期尚早だ。正教会の勢力がいくら新教会を圧倒しても、政府に反旗を翻すだけの大義も力も不足しているはずだ..これは恐らく正教会内のある派閥が単独で動いたと見るのが正しいだろう。」


クリムゾンは後ろへ退きながら言った。

「なっ..どうしてそれを..!」


エヴァンは素早くクリムゾンへ駆け寄り、ワイヤーを使って拘束した。

「探偵という肩書きを無駄に名乗ってるわけじゃない。」


クリムゾンはあがきながら言った。

「くそっ..!最初から全力を出していなかったのか!!」


「少し考え事をしてただけだ、逆十字教の反乱か、それとも単なる信者個人の逸脱なのか結論はまだだが、徐々に明らかにしていこう。」


エヴァンは無線機を取り出し、政府の輸送チームへ繋いだ。

「こちらは一級犯罪者捜査課の探偵エヴァン、反乱軍の会議を調査中に逆十字教の司祭二名に奇襲を受け、一人を拘束した。もう一人は途中だが経路から見て付近に潜伏中だろう。狙撃手なので注意願う。以上..」


-ジジッ、確認した。エヴァンご苦労。輸送は任せろ、帰還しろ。-


エヴァンはすぐにステラに通信した。

「ステラ、もう帰るぞ。Fゲートに来い。そろそろ輸送チームが新しいバイクを用意して待っているはずだ。」


数秒後、ステラから通信が入った。

「はい、ちょうどFゲートの前にいます!」


そうしてエヴァンはステラと共にバイクに乗った。

夕方、夕焼けの中でエヴァンは速すぎず遅すぎず居住地域へ向かった。

「ステラ、お疲れ。おかげで狙撃手を早く検挙できた。」


エヴァンはしばらく夕焼けを見つめながら考えた。

『ステラには逆十字教が俺たちを狙ったことは隠しておく方がいいな。知れば混乱するだろうからな。』


ステラは笑って答えた。

「えへへ、ありがとうございます!でもどうやって狙撃手を制圧したんですか?武器って拳銃とナイフしか持ってませんよね?」


「まあ、たいした奴じゃなかった。それより任務報告は俺がするから、お前は居住地域に着いたら寮へ戻れ。」


「はーい!それよりやっぱりエヴァン探偵さんですね!学校でもすごく有名でしたよ!毎日先生や友達が•••」


そうしてステラのおしゃべりが途切れる頃、エヴァン一行は13セクターに到着し、エヴァンはステラにネリュニャンの通信機はプレゼントだと言ってステルスモードを切って手渡した。

「ステルスモードは切っておいたから、通信が来たらネリュニャンの鳴き声がする。任務中は横のボタンを押してステルスモードで使え。俺も任務中でなければ音をONにしておくから、助けが必要なら呼べ。」


エヴァンはステラと別れ、自分の居住空間に到着し、そのまま地下へ降りて通信装置を使って政府と通信した。

「こちら探偵エヴァン。任務終了後、復帰しました。」


通信装置から数回機械音が聞こえた後、変調され性別すら推測しにくい声が響いた。

-ご苦労だった。君の目と耳を通して見守っていたが、結局会議は目くらましで、逆十字教の『一部の不純な信者』が現れたな。殺さずに拘束しておいたおかげで多くの情報を得ることができた、礼を言う。-


「いえ、やるべきことをやったまでです。」


少し短いが納得のいかない沈黙が流れた。

-エヴァン、今回の任務で変わったことはなかったか?-


エヴァンは口を開きかけた瞬間、-ニャンニャンニャン-とポケットのネリュニャン発信機が鳴った。

驚いたエヴァンは発信機を切りながら言った。

「申し訳ありません。任務では私の目と耳を通してご覧になった通りです..」


エヴァンは短い間言葉を濁しながら考えた。

『なぜ訊く..?どうせ俺の目と耳を通して全て分かるはずだろう..そういえばJについての言及が全くなかった..まるであの状況を見聞きしていなかったかのように..じゃあ最初から通信に問題があったと言わなかった理由は..?しかし逆十字教との交戦は知っていた..』


『あの時聞こえた単一周波数..?情報を整理すると単一周波数音は受信を攪乱する装置の音だと判断するのが合理的だ。じゃあ政府はJの発言の直前から俺の視聴覚情報を受信できていなかった。坑道が崩壊して攪乱装置が壊れ、受信が正常に戻り、俺の話を聞いて会議は目くらましだと把握したのか?』


『それならなぜ通信が正常でなかった事実を隠す..?何か隠しているのか..?』


エヴァンは既視感を覚えた。

何かが歪んでいる感覚、日常に溶け込んで肌では感じられないが時折蘇るその感覚が今回もゆっくりと湧き上がった。


エヴァンは続けて言った。

「会議は私を坑道で処理するための罠で、そこを脱出して赤い司祭と遭遇し、少し対峙した後彼は逃走し、クリムゾンという赤い司祭の乱入があったが制圧しました。また特記すべきは、逃げた赤い司祭は輸送チームが搬送したと連絡がありました。逆十字教の内紛が深刻化したということですが..これは政府でも私の目と耳を通して共に確認した事案だと思います。」


少しの沈黙の後。

-分かった。最近軍部で反乱を企てた者が数人発覚し尋問してみた。まったく、君を疑った私が愚かだった。謝罪しよう。報告はこの辺で十分だ。もう行っていい。-


プツッ。


エヴァンはすぐに寝室へ行き目を閉じ横になった。

そして静かに考えた。

『この既視感は不快なこの感覚はなんだ..そうだ、最初に何かが狂っていると不意に感じたのはあの時からだった..』

今日も 私が 出来たよ! ま、 何のコメントもないから 悲しいけど。 でも 頑張ります そして、 次からは 一週間に 1話ですー! 今は12話まで 書いたけど、 翻訳もだいへん そして、 もっと ゆっくり したいからです!ざぁーまたて

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