僕の中の悪魔を殺してください

『冒険者パーティー「冬の精霊」』のリーダー、ビアンコはチャンスがあれば、つい自分の中の悪魔を喜ばせてしまう。これはビアンコにとって悩みでもあり、快楽でもある。

　この悪魔をどうにかできないかとビアンコは時々考える。誰にも言えないことだから、『冬の精霊』のメンバーと一緒に旅をする間、ビアンコはこっそり一人で何か悪魔を殺す方法を探して、普通の人間になろうと淡い期待を持っている。

　この『冒険者パーティー「冬の精霊」』は冒険者にとって珍しい目標を持っている。それは『魔王を倒す』こと。

　なぜただの冒険者パーティーにそんな目標ができてしまったのか・・・理由はこのパーティーのメンバーたちが勇者一行だと、褒め称えられて浮かれてしまい、不本意ながらその目標を持つようになったのだ。

　ついつい調子に乗ってしまう、勢いのあるメンバーを持つと困るのだ。

　ビアンコは、魔族にも魔王にもまったく興味がない。でもメンバーが勇者一行とか何とか褒められて、楽しそうにしているから、まあいっかと思うようになった。

　どうぜ魔王討伐なんかができるわけがないだろうから、ビアンコは『冬の精霊』メンバーのしたいようにする。

　そんな大層の目標を持ち、『冬の精霊』は世界の北方の街から魔王城のある最南方の果てに向かう。その途中でいろいろな出来事にあい、時々ビアンコが昔のことを思い出したりして、そしてまた魔王城に向かう。