第4章 : 運命の出会い
幾日も、幾月も過ぎ、スレイマンは一族の中で生活し、訓練を続けていた。しかし、その心の奥底には絶えず疑念が湧き上がっていた。この不思議な世界に迷い込んで以来、彼の目に映るすべての細部、習慣、風景がどこか奇妙に馴染み深いものに感じられていた。やがて、彼の日常の光景、遠くの山々、遊牧民たちの顔、そしてキャラバンの行路までが、かつて読んだ「放浪者ランヘイムの伝説 - 遊牧の征服者」の一節に重なっていることに気づき始めた。
興味が湧き上がり、抑えきれない探求心に駆られたスレイマンは、ランヘイムという未来の征服者が、ある神秘的な人物によって間一髪のところで救われるという待ち伏せの場所を探し始めた。岩の形が牙のようで、遠くにはそびえ立つ山々が背景にあるという、彼の記憶に刻まれた書物の描写が蘇り、その場面に自らの目で立ち会いたいという欲望が彼の中で強まっていった。
こうして、空いた時間には忍耐と決意を胸に、草原や周囲の丘を探し歩いた。地形のあらゆる特徴を記憶の中のイメージと照らし合わせ、正確な場所を何度も何度も心の中でたどり直した。月日が流れ、やがてある日、ついにその場所を発見した。牙のような形の岩や、周囲の丘…すべてが一致していた。心の奥底で、ここがランヘイムの運命が変わる場所であると確信していた。
待ち望んでいたその日がやってきた。スレイマンは夜明け前に待ち伏せの場所に到着し、岩の陰に馬を隠した。その場は風のかすかな音だけが響く、奇妙なほど静かな場所だった。彼は岩陰に身を潜め、視線を遠くに向け、ランヘイムがやって来るはずの道に目を凝らした。
時がゆっくりと流れ、待つたびに緊張感が増していった。すると、ついに遠くの地平線にふらふらと揺れる人影が現れた。若く、傷つき、孤独なランヘイムだった。彼の馬もまた弱り、傷を負っているようで、悲しげに嘶いた後にランヘイムを残して逃げ去った。ランヘイムは力尽きて地面に崩れ落ち、立ち上がることすらできなかった。
スレイマンの胸は激しく鼓動していた。本によれば、この瞬間に救助者が現れてランヘイムを追手から救い出すはずだった。彼は周囲を見渡し、誰かが現れるのを期待したが、誰も現れなかった。静寂が支配し、待ち望んでいた救いの手は現れなかった。
その時、遠くの丘を登ってくる騎馬の男たちの姿が見えた。彼らの視線は明らかに平原に向けられており、ランヘイムを追い詰めるためにやってきたに違いなかった。死の影が若き征服者に迫っていた。
スレイマンの中に抑えきれない衝動が生まれ、彼はためらうことなく隠れ場所から飛び出した。数歩でランヘイムに駆け寄り、地面に倒れたままの彼を抱き上げ、自分の馬に乗せた。
ランヘイム(かすかな声で) : 「あ…あなたは誰だ?」
スレイマン : 「今日、お前を死なせるつもりはない。しっかり掴まれ!」
スレイマンは馬に拍車をかけ、平原を疾走した。馬のひづめが地面を打ち、逃げる二人の後ろに砂埃が舞い上がる。スレイマンはしっかりとランヘイムを支え、彼を落とさないように腕に力を込めた。顔には集中の色が浮かび、彼の体は馬の動きと一体化していた。
追手の足音が迫り、叫び声が空気を震わせた。スレイマンは地形の起伏を利用して彼らを撒こうと決意した。その時、左手に岩場の窪みが見えた。彼は迷うことなく馬の体勢を傾け、その急斜面に向かって進んだ。追手たちは急な方向転換に驚き、軌道を修正するために減速した。
スレイマン(心の中で) : 「あと少し…持ちこたえてくれ。」
険しい地形に慣れた馬は、スレイマンの微細な指示に即座に反応し、二人は巧みに岩の間をすり抜けていった。彼は馬に乗りながら、次々と動きを計算し、目の前の地形を熟知しているかのように対処していた。
再び追手が迫ってきたが、彼は冷静に判断し続け、遂に小川に出た。スレイマンは一瞬の間、川を使って追手をまくことを思いついた。
スレイマン(つぶやきながら) : 「もう少しだ…」
川に沿って進み、水しぶきで痕跡を消し去るようにした。水音が馬のひづめの音をかき消し、逃走の気配も薄れた。スレイマンは一瞬ペースを落とし、追手の視界から完全に消えることができた。
ようやく川を抜け、平原に戻った頃には、追手は完全に見失い、逆方向に痕跡を探してさまよっていた。
ランヘイムは疲労困憊していたが、安全を確信し、スレイマンに感謝の目を向けた。スレイマンもまた、自分の運命とランヘイムの運命が結びついたことを深く感じ取っていた。