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雑記

掲載日:2023/11/11

 慣れというものは実に不思議だ。つらつらと直したり、消したり、加えているうちにあっという間に仕上がっている。理想の文字数ぴったり1000字とか、2000字とか、気持ちがよい。ほっとして、解放感に浸る。さっきまで集中していて気付かなかった腹の虫の音が大きく胃袋の中いっぱいに響き渡る。


 随分前のことになろうか、イエスマンにだけはなるまいと気を張って1年12か月のカレンダーを無意味に凝視しながら、日々同じことを繰り返しているようで、実は毎日憤怒の活火山人間であった頃のことである。


 その日はそろそろ冬物コートでも出そうかと思いながらも、セーター1枚着ていればまだなんとかなるだろうとやり過ごしていた秋の朝だった。週末に所用で有給休暇をもらい、週明けの冷えた室内に2番乗りした月曜日の始業前、何かと嫌味の酷い、粘着気質で有名な問題上司から頭ごなしに散々なことを言われた。それもそいつの指示通りにやったことで、そのときはそれでよしと終わっていたことだった。なあなあに穏やかに返事をして、奴が部屋を出た後、怒号を爆発させた。


「しねやああああああああああ!!!!!」


 声の主は、当時の自分である。明日、すぐにでもクビと言われてもいい、そもそもずっと前から職場環境にウンザリしていて、密かに転職先を探し、既にいくつかの候補を絞り込んでいたから、後悔のないように叫んでやったのだった。面白かったのは、粘着野郎の反応だった。ちょうど

缶ジュース片手に戻ってきて、ドアを開けたところで、自分の雄叫びを聞いたらしく、そっとドアを閉めて始業時刻まで消えていた。


 転職先で迎えた初夏、風の便りで粘着野郎の左遷を耳にした。自分が配属される前から悪評が立っていたため、報いを受けたのだろう。


 アツアツのカレーヌードルに吹雪のようにかけた粉チーズとの組み合わせは大好物である。スパイスのいい匂いが心身を幸福で包んでゆく。


 メリハリが効きすぎた若い頃が昔話となった今は、やっと学びはじめた芸術と向き合いながら、未来の丘を目指して緩やかな新しい人生の道を歩いている。


 フタをあけて、最初の麺を啜るまで、あと1分。


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