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俺はTokyo生まれ雅文調育ち古典文学は大体友達

古典文学と大体同じ 模倣道歩き微妙なこのオチ

樋口 鴎外 そう思春期も早々にこれにぞっこんに

センスなら置きっ放してきた小学に マジ人に衒学された本当に

だが時は経ち今じゃ灰のシンデレラ そこら中で皆貶す読んだら

筆を掴んだらマジ底辺 下方から数えてトップランカーだ

そうこの地この国に生を授かり 副校長に無敵の酷評預かり

仲間たち親たちファンたちよりも 嫌ってる奴いる荒れたオフロード


「Aさんさ、なんか最近フリースタイルラッパーって呼ばれてない?何があったの?」「いや特に何も」「えっ本当に何もなかった?」「まあほぼ自分が悪いようなもんだし」「マジ?なんかさ、副校長先生に自分が書いた小説読ませたみたいなことも聞いたけど、それ関係してる?」「あっ、知ってるんだ」尚マンネリだいかんせん進まないこの記録 お前には知られたくはないこの恥辱  Yeah

「あれのクオリティが低すぎて叩かれたっていうだけだよ」「そんなにクオリティ低かったの?なんかAさんってさ、小学校の時の国語の時間とかめちゃくちゃいい作品書けてたと思うんだけど」「小学校の時はね、でも今は違う」「そうかな、今度読ませてよ」「いやちょっとそれは…」「いやいやクオリティ低いかどうかなんて読まないとわかんないし」「いや本当にクオリティ低いからちょっと無理です」「えぇ…あっ!よく見たら鞄の中に入ってる」「あっ」迂闊にも入れっぱなし返却以降永遠 不覚にも御伽噺発覚しての顕現

「じゃあ読むね」「いやちょっと待って」「待たない、ほらもう読みはじめちゃったから、もう作文用紙開いちゃったから、もう止まれないから、アクセルはあってもブレーキは搭載されてないから」「いやちょっと…」最後まで読破せられ昼休み10分後に 君の目が泳ぎ逸れ言葉なき縦横自在に

「…どうだった?」「…うん、まあ荒削りだけど…まあこういうのもさ、あってもね…たまにはね、いいんじゃない…ですか…ね」「単純に面白くなかったって言ってくれた方が嬉しいよ」「いやちょっとそれはね…流石にさ…」「言葉選ばなくていいんで、ほら突っ込んだこと言える友達はいた方がいいんでしょ、突っ込んだ言い方でいいから」「うーん…まあ私の個人の感想であってさ、別にそれだからダメって訳じゃないんだけど…あのね…個人的に、個人的にあまり好みではない」「具体的には?どういうところが?」「えっと…まずあの…カロリーが高すぎるというか…読みづらいよね、単純に、いや私の読解力が低いだけだと思うんだけどさ、あの…意図的にやってるんだろうけど、ね…読みづらいんだよね、私は」「他には?」「えっ、まだ言わせる?うーん…その…他にはね、オチがね、ついてないんだよね、投げやりというか、まあ意外性はあっていいんだけどあの…いや投げやりじゃないし投げやりでも面白い作品はあるけどあの…うん、もうちょっとオチがちゃんとしてるというか作品全体で何を伝えたかったのかわかる方が私は好みかな…とは」「面白いかつまらないかで言ったらどっち?」「えっと…普通」「面白いかつまらないかの二択だったら」「いやそれは流石に」「変に気使わなくていいから言ってよ」「いや流石に…というか今までの私の意見で大体察せただろうからこれ以上は言ってもね」「そこを言ってほしい」「なんでそんなに追求してくるの?」「明瞭に言ってほしいから」「まあわかった、あの…怒らないでね、怒らないでほしいというかまああの本当に個人的な感想だし人によって違うと思うしなんだけどまあ…あの…どっちかで言うならまあ面白くは…ない…です」「もっと直接的に言ってほしいんだよね。つまらないならつまらないってはっきり言って欲しい」「どうしたの今日?逆につまらないって言われることを望んでるの?」「はい」「それは流石にちょっとおかしいでしょ、誘導尋問じゃん」「つまらないって言うならはっきり言ってほしいしそれを言わないのは友達として嘘だと思うし言ってもらえないんだったら結局その程度の関係だったのかなって思っちゃうけど」「いやいやなんでそうなるわけ、こっちだってさ、せっかく言葉選んでるんだからそういうところはちゃんと汲み取ってほしいというか、それに対して配慮できずに全部ぶち壊しにかかるのってさ、裏表ないのはいいんだけどちょくちょく自己中心的になるの割と短所だよ、Aさんの」「ごめん」「まあ望んでるなら言うけど、面白いかつまらないかで言ったらまあ、あの明瞭に言わせてもらうと申し訳ないんだけど、あのまあつまらない寄りだけどね」「良かった」「良かったじゃないんだよねあの…ごめん本当にこれはちょっと友達だからこそ言おうと思ってるんだけど、あの友達そんなにいらないって思うのは別に個人の自由だからいいんだけどさ、あと性格も人によって多種多様だからわざわざ矯正する必要ないけどさ、でもやっぱり最低限社会で生活していく上でというか将来苦労しないためにはさ、やっぱり自分のこう…配慮、というか他人の気持ちを汲み取ることって大事だと思うよ、私だから許せるけど相手によってはそういうことやってるとマジで嫌われるかもしれないからね」「分かった」

「本当に、お願いしますよ、マジで、あの…っていうかなんでそんなにつまらないって言われたかったの?」「そう言ってもらえた方がなんか、自分の中で区切りがつくんだよね。あの作品はクソだったって」「…まあでも才能がない訳じゃないだろうし何事も練習だから何回か書けばもっといい物が書けると思うよ」「いやもう書かないけど」「いやなんで、書きなよ、継続は大事だよ」「小説は書くかもしれないけどああいうのはもう書かない」「でもあれってAさんがやりたかったことなんでしょ?だったら突き詰めた方がいいよ」「でも今思い返してみるとそんなにああいうのやりたかったわけでもないというか…正直なんでもいいかなって思えるんだよね」「そう、じゃあ無理にとは言わないけど…でも一回やり始めたんだからさ、例えそれがクソみたいで救いようがないみたいに言われちゃったとしても10人中9人から批判されたとしても、やり続ければどうにかなるんじゃない」「なるわけないでしょ…あのさ、才能がないって分かってるのにさ、才能がないことを自分自身がずっと分かっててそれを今まで誤魔化してきたのにさ、それがついに周りにバレて才能のなさがどんどん露呈していってさ、それでもまた性懲りもなく諦めずにやり続けるのって、この上さらに自分で自分を騙し続けるのってさ、馬鹿だと思わない?」「大丈夫?ちょっとさ、思い詰めすぎなんじゃないの、そんなに自分をこうさ、卑下しないでよ。才能があるかどうかなんてわからないじゃん、私だって小学校中学年まで数学苦手だったけど頑張ってやってたら得意教科になったし、そもそもAさんって普通に勉強もできるしむしろ才能ある方に見えるけど」「そう、じゃあ私の気持ちはわからないね、Bさんには」「いやだからなんでそうやってすぐ閉じこもっちゃうの?私はAさんとは性格全然違うけど、でも小学校の頃からの知り合いだしさ、周りに比べたら断然分かってるつもりだけど」「表向きはね、表向き分かってたって裏は分からないじゃん。よく裏表ないって言ってくれるけど私だって全然裏表あるから、ただ普通みたいに裏でBさんを馬鹿にしたりはしてないだけで裏表全然あるから」「そんなこと分かってるよ、分かった上で裏表が比較的少ないですねって言ってるんだから」「でも私はBさんのことが分からない。あなたが裏で私を馬鹿にしてたとしても私を嫌っていたとしてもそれは分からない、ただ表層上のBさん、上っ面だけをそれそのものだと思い込んで信じ込むしかできない」「馬鹿になんかしてないって、これは本当に嘘じゃなくて心の底から思ってるけど、Aさんのこと馬鹿になんかしてないしちょっと性格がめんどくさいと思ったりはするけど嫌ったりしないし、友達だと思ってるよ」「本当?信じていい?」「信じてよ、なんでそんなに疑ってくるの」「だって割と昔から色んな人に馬鹿にされてきたから。馬鹿にされるのは慣れてるけど信じることには慣れてないんだよね」「私Aさんと低学年と高学年で同じクラスだったけどそんなに馬鹿にされてたっけ」「されてたよ、そっちが気付いてないだけで」「そうだったんだ、でもさ、私は別に馬鹿にしてないから」「でもBさんも裏で意外とあの一部のカースト上位の女子とかと一緒になってラッパー呼ばわりしてたりするかもしれないじゃん」「いやしないよそんなこと、っていうかAさん最近調子おかしいよ、本当に大丈夫?」「自分の才能が信じられなくなったからかもね」「いや、ほんと辛いことがあったんだったらさ、いつでも相談していいから、友達でしょ、ほら、ちょうどこの教室今昼休みだからさ、私たち2人だけしかいないし、なんでも言っていいよ」「本当に?本当に言っていいの?」「言っていいよ、信じてよ」「でも私には…信じられない、昔は信じてたけど今はもう信じられない」「なんでよ、なんでそんなこと言うの」「…結局さ、私には普通の生活なんてできないんだよ、性格だってかなり捻じ曲がってるって自覚あるしさ、他人からはおとなしい優等生だと思われるけど全然そんなんじゃないし…今この教室に2人しかいないから、Bさんと私しかいないからこういうこと言えるんだけど…他の誰かには言えないけど…でもそんなに、そんなに大した人間じゃないんだよ、私、できるのは勉強だけで他に何もできない、コミュニケーション能力も低いし運動神経も人並みにはあるけどなんかの選手になれるほど高くはないし小説だって書けやしないし絵心は古代文明の壁画レベルだし委員会活動とかやってても人に嫌われたりみんな私の指示聞いてくれなかったりするし裏で陰口言われてるの知ってるし…何もできないんだよ、私」「…」「なんで黙りこくっちゃうの?反論できなくなった?」「…甘えてるんじゃないかな」「えっ?」「本当に何もできない人はさ、勉強もできないし運動神経も人並みどころの話じゃなくて全然ないし委員会活動だってできないんだよ。Aさんはさ、恵まれてるんだよ、見てみなよ、斜め後ろの席。知ってるよね、あの席に座ってた子さ、運動が全然できなくて、水泳の時間に無理して泳いで、それでみんなの前で吐いちゃったんだよね。そこからいじめられて全然学校来なくなっちゃって、でもAさんは100メートル泳いで吐いちゃったりしないしむしろ卓球部やってたりして全然運動できるじゃん。だからさ、Aさんは自分に才能がないと思っててもさ、そんなことないっていうか…あの子に失礼だよ」「そういう論法、嫌いなんだよね。世の中にはお前より苦しんでる人がいるんだってやつ。何も分かってない人が使う奴でしょそれ」「そう思いたいならそう思えばいいけど、でも私は…私はずっとAさんに憧れてたしAさんみたいになりたいと思ってたし、数学の勉強やり出したのも隣のクラスでAさんが数学めちゃくちゃできてるって噂聞いたからだし、ずっとAさんに憧れてきたんだからさ、その私の前でそれ言うのってさ、甘えだよ、本当に」「そっか、そうだったんだ…ずっとそんなふうに思ってくれてたんだ…本当に?嘘じゃないよね?励ますための方便なんかじゃないよね?これが嘘だったら本当に嫌いになるかもしれない」「だから嘘じゃないんだって、いちいち疑わないでよ」「でも今はもうそんなこと思ってないでしょ?私のことなんて…私にとってのBさんが何であってもBさんにとって私は有象無象の友達のうちの1人でしかない、それならそうとはっきり言って欲しいのに、憧れてるとか思ってもないこと言って無理に励まそうとして…大体Bさんみたいな人が私に憧れる訳ないし、それくらい私だって分かるから…テストの点数だっていつもそっちの方が高いし私は委員会だけどそっちは生徒会だし、小学生の頃から私が2位か3位で表彰されるといつも私より上の順位にBさんがいたし。ずっとそっちの方が勝ってたのにどうして自分よりも下な私を尊敬する理由があるの?そんなこと…そんなことってただの下手な励ましでしかない。実際は何とも思ってない人に憧れてるように見せかけるのは残酷でしかない。私だって人間なんだよ、あんまり見くびらないでほしかったんだけど、でも無理だよね、Bさんには」「なんでそんなにさ、被害妄想的っていうか…なんで信じてくれないわけ?」「信じられないからね、誰も…信じたって向こうが信じてくれなきゃ悲しいだけだし」「でも私はAさんを信じてるよ」「本当は信じてない癖に、どうせ私のことなんて…私のことなんて陰キャが教室の隅で1人で本読んでて可哀想だなとか…そんなくらいにしか思ってないんでしょ?私は信じられない、もう誰も、自分自身を信用できないのに人なんて信じられるわけないから。Bさんが私を信じてくれようがくれなかろうが私はBさんを信じられない、誰であっても信じられない。なんで…なんでこんなこと言ってるんだろう、私…本当はこんなこと思ってないのに…本当はずっと信用してほしくてでも言えるわけなかったのに、でももう遅いよね、きっと私のことなんて嫌いになったでしょ?そうやって…そうやってみんな私から離れていく。私がどんな人間であるか知った途端に、私をみんな嫌いになって…そうやってBさんも、Bさんもきっと私から離れていくんだ」「…もうこの話やめない?これ以上やったってお互い辛いだけだしさ、それに…私はこれからもずっとAさんと友達でいたいから」「そっか。そうだよね。ごめん。友達…だからね。結局は友達でしかないから。分かってるはずだったのに、もう二度としないよ、ごめん」「…もうすぐチャイムなるからみんな戻ってくる時間だよ、じゃあまた」「じゃあ」

ラッパーの件はもう完全に頭から抜け落ちていた。精神が参ってたからってBさんに酷いことばかり言ってしまったんだ。きっと嫌われる。もう嫌われてるかもしれない。ずっと認知的不協和的な想いばっかり抱いてきて、でもそれには気づかずにただの友達として接してくれるBさんが好きだったのに、それを失ってしまうかもしれない。私が人と関わるといつもこうなるから、だからもうBさんとも本当は関わりたくなくて良い思い出のまま消えて欲しかったのに、それすら失ってもう才能もないし通常の人間として暮らしてもいけない私はこれから何を目標に生きていけばいいのか、ただ優等生的な社会の一部分としても過ごすことはできず、きっと生まれてこない方がよかったんだ。

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