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開講! 驚愕の《魔法のお勉強会》

 


「では、お勉強会を始めます」

「「はーい!」」

「あい!」

「よろしくお願いします!」

「お願いしまーす!」



 朝の仕事も朝食もすませた俺と子供達は、イケメン先生開講《魔法のお勉強会》で魔法を学ばせてもらうことになった。


 ついに! 魔法が使えるようになると思うとちょっとテンション上がる!

 そんな俺の心と同じように子供達表情も高揚しているのが分かる。


 お勉強会は屋敷前の広い牧草地内で、一人だけ立っているイケメンの周りに俺と子供達は座って囲む形での開講だ。

 そしてイケメン先生の授業開始の言葉に元気良く双子君、プティ君、ベルトラン君、俺の順番で返事をする。



 うん。俺も含めてみんなやる気満々だ。



「まずは魔法どころか魔力のマの字も知らないリンタロウの為にまずは、魔力とは何か教えてあげようなー」

「「はーい!」」

「あい!」

「はい、いいお返事だ。じゃあ、まず俺達が持つ魔力とは、カリファデュラ神の子である我ら皆が持っている神から分け与えられたもので、その魔力の形はこの世界の種族が多種多様あるように魔力も多種多様である。これはリンタロウ以外の皆は知ってるな?」



 はい! とこれまた元気よく返事をするお子様達。

 ほうほう、魔力が神様の子だと皆持ってるのは聞いていたが魔力に種類とかあるのか。



「多種多様とは言っても皆が皆、特別な力を持っているわけでもなく。だいたいは、基本的な魔法しか使えない魔力を持った者がほとんどだ。基本的な魔法っていうのは、生活魔法とか基本の五大魔法とかのこと。でも、俺達の魔力量や魔力操作能力、得意魔法など鍛えればそれぞれ差が出てくるから、やはり違いは必ずあるので多種多様という言葉は当てはまる。


 だが、魔力を持っている俺達の中でも生まれつき特化した魔力や特殊な魔力を持つ者がいる。では、そんな俺たちがどういう魔力を持っているのか、特別かそうでないかを解りやすく確認できる方法が二つあります。

 さあ、それはなんでしょうか」

「「はい! はい! はい! はーい!」」

「はい! 先生!」



 俺はもちろん分からないので首を傾げたのだが、俺の胡坐の上に座ってるプティ君も一緒に首を傾げていた。

 おぉ、仲間だね。可愛い。



「はい。じゃあ、一番早かった双子君達、せーので一つ答えてもらおう」

「「せーの……俺達の色ー!」」

「はい。正解」



 飴をあげよう。そう言うとイケメンはカラフルな飴を掌に転がして双子に与えていた。


 俺達の色とは?

 この見た目のことか。



「俺達の見た目の色が、基本的な魔法しか使えない人は必ず濃いブラウン色の髪と瞳で肌は白すぎず、黒すぎない色だ。それ以外の特別な力を持っている者は何かしら別の色を持っている」



 へぇー、濃いブラウンが割と普通ってことね…………。

 …………ん? 昨日風呂場でも見て、今日の朝に子供たちと歯磨きする時にも見た俺の色は、いつもどおりの明るいアッシュブラウンの髪とアイスブルーの瞳であった。

 濃いブラウンではない。



「…………ということは? 俺ってなんか特別な力持ってるってこと?」

「そうだろうな」

「じゃあ、お前やこの子達も?」

「俺達持ってる!」

「持ってる!」

「も、もってる!」

「髪は濃いブラウンですが、瞳が緑なので持ってます!」

「俺も、もちろん持ってるな」



 全員、特別な魔力の所有者だった!!

 ということは、ドゥース様やパルフェット様、髪が白髪で瞳が赤かったセリューさんもか?

 遺伝とかじゃないの?



「俺たちの外見の色って遺伝だからとかそういう理由だと思った」

「まあ、ある意味遺伝だな。基本的に親からその特性の魔力を受け継いだ子は、親と同じ色になる。まれに、家族とは全く違う色を持って生まれる場合もあるが、やはり生まれつき持っている魔力の性質特化の違いだな。その他にも、一部の魔法を極めすぎて後天的に色が変わる者もいるが」



 なるほど、でたよファンタジー。

 この世界特有だけど。


 そうしたら俺ってどんな力持ってんの。



「そして、確認方法はもう一つある。ベルトラン君」

「はい! 先生! それは魔力を放出して流し、流した魔力の性質作用によって己の周りに起こる変化で性質を確認することです!」

「はい、正解。しかもしっかり勉強しているようなので多めに飴をあげよう」

「ありがとうございます!」



 魔力を放出し流す、かぁ……それってどうやるの?


 俺、魔力が使えないからこの世界の魔力で動いている物、全部使えないんだよね。

 蛇口とか、明かりとか、生活において必要なもの全部。

 恥ずかしながら今はパルフェット様や双子お兄ちゃんズ、プティ君が主に俺を助けてくれている。

 魔力、使えるようになりたい。



「さて、見た目でリンタロウの魔力は他と違うことが分かったと思うので、次はどんな魔力の性質特化を持っているのか確認しようと思いますが、その前に見本を見せようと思……」

「「はい! はい! それ俺達がやるー! リンタロウに見せてやる!」」

「ふふ、じゃあ、見せてもらおうかな」

「「わーい!!」」



 どうやら無知な俺にいろいろと教えることにやりがいを見出した双子お兄ちゃんズが、イケメンの言葉を遮ってまで俺に魔力放出を見せたいらしく。

 イケメンからゴーサインがでたので、身体で激しく表現してまで喜んでいた。


 二人は意気揚々と走って俺達から少し離れた所に行くのだが、それを見たベルトラン君が何か気づいたように二人を追いかけるけど、それはどうやら遅かったみたいで。



「「そぉおおおれぇぇええええ!!!」」



 双子お兄ちゃんズの掛け声の後、ドーン! と大きな音を立てて地面が吹き飛んだ。

 というか土がひっくり返った。



「やぁめんかぁああああああ!!」



 ゴイン! ゴイン! と双子お兄ちゃんズに追いついたベルトラン君が、二人の頭を盛大に殴って叱りつける。


 俺はというと目の前で起きた事象に驚きすぎてそっちはあまり見てなかったけど。

 座っているのに腰抜かしそうだ。


 いや、すごすぎだろ…………。

 あれはもう爆発だよ。



「お前らなぁ! 魔力操作までしてどうする! 時と場所を考えて節度と限度を覚えろってあれほど言ってるだろう! しかも誰があれを元に戻すと思ってる! 爆発させるな!」



 そう言ってベルトラン君が左手をひっくり返った土に向けると、さっきまでひっくり返っていた土がズズズズ……と元の程よい固さの地面へと戻っていくではないか。

 地面の形は戻っていくけど地面に生えていた草は戻っておらず所々草がはげてるから、その場所がひっくり返った場所なんだと分かるけど。



「いやあ、三人とも素晴らしい魔力放出と魔力操作だな。お父上からの遺伝もあるだろうが元の魔力量がそこそこないと、子供でこの規模の土の操作は難しいだろう」

「え…………これがこの三人の魔力の性質特化ってこと?」



 イケメンが三人の所業に関心しているのを横目に、俺はひっくり返ったが元通りの形になった地面へ行って、実際に足で踏みしめてみたりと確認してみるたのだが。

 その地面はさっきひっくり返ったとは思えない、他の地面と踏んだ感触の変わらない地面だった。


 草がはげてるけど。



「俺たちの性質特化は父上からの遺伝で土を操作したりするのが得意なんです。本来魔力をただ放出して流すくらいだと土がちょっと盛り上がるとか軽く動く程度なのですが、今のはこの馬鹿二人が魔力操作で地面をひっくり返したので爆発しました」


「「ごめんなさい」」



 涙を浮かべながら謝る双子お兄ちゃんズの頭を、鷲掴みしたままそう言うベルトラン君。


 ベルトラン君。

 俺ビックリして腰抜かしそうになったけど、ちょっと感動も大きく混じってるのでそんなに怒らないであげて。

 双子お兄ちゃんズのベルトラン君に掴まれてる頭が痛そう。


 俺はベルトラン君を宥めようとしたところ、俺の胡坐の上に居たり、俺の行く先について来たり傍から離れなかったプティ君が草のはげた地面に突然両手をついて「んぅ~…………」と唸り始めた。


 どうしたの!?

 驚いて具合でも悪くなってしまったのかとちょっと心配になりプティ君を抱き上げようとしたその時。



「んぅ~…………やっ!!」



 ぽん。



「え……草が生えた」

「プティの性質特化は、母上の遺伝で再生と治癒です。まだちょっとうまく魔力を使えないので草がちょっと生えるとか、小さい擦り傷が治る程度ですが」

「母上は綺麗に草を戻すぞ!」

「傷も綺麗に治す!」

「む~……もっと生やすつもりだったのに」



 マジで?

 草生やしたプティ君にも十分ビックリだけど、パルフェット様そんなことできんの。

 俺は不服そうな顔をしているプティ君の横に座り、プティ君が生やした草を触ってみた。


 本当に生えてる。

 なまものだ…………。


 もう驚きで、開いた口が塞がらない俺は変な顔をしているのだろう。

 双子お兄ちゃんズが俺の顔を変だと言ってるから間違いない。

 もちろんそんなこと言う双子お兄ちゃんズはベルトラン君に叱られているが。


 それを面白そうに見て笑いこらえてるイケメン。

 お前マジ覚え……(以下略)



 だが、俺の驚きはこれで終わらなかった――――









「こらー! シャルルにサロモン! またやったんだね! あれほどやめなさいって言っただろう!」



 爆音を聞いたパルフェット様が屋敷の外に出てきていた。


 玄関先でちょっとぷりぷり怒っている姿もまた可愛かったのだが、『しょうがないなー』と言いながらパルフェット様は自分の左手を口元に近づける様がとても美しかった。

 瞬く間にパルフェット様の手の上にサラサラとした光の粒子が集まりだし、とても綺麗な光景で思わず見惚れたのだが、パルフェット様が最後にその集まった粒子にふぅ、と息を吹きかけると粒子は空気を舞い草がはげてしまっている地面に降り注いだ。


 降り注いだ光の粒子が地面に入り込むと、はげてしまっていた草が一瞬で綺麗な牧草に生え整う。



「流石はパルフェット様。お見事です」



 パチパチとパルフェット様を称賛し拍手を送るイケメン。



「おや、どうもありがとう。いいかい、二人とも! 次またむやみにやったらおやつ抜きだからね!」

「「はーい……」」



 イケメンに褒められたことに素直にお礼を言い双子お兄ちゃんズに釘を刺したことで、用が済んだパルフェット様はさっさと屋敷に戻って行かれた。


 俺はというと元通りに牧草の生えた地面をぺたぺたと触り、生き生きとしている草の感触に驚愕を通り越してしまっていた。



「…………これって、この世界では普通なの?」

「他にもこういう治癒系や再生系の魔力を持つ者はいるが、パルフェット様はその中でトップクラス。安心しろ、普通じゃない。」



 肝っ玉母さんパルフェット様は可愛いだけでなく魔力も凄まじかった…………。





 あぁ、そうそう。

 腰抜かしそうとか言ってましたが、もちろん最後の驚きで腰が抜けました。はい。


 こっち来てからの俺、前の世界の人に見られたらやばいだろうな…………。













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