母との別れ
「母さん!大丈夫?しっかりして!」
僕は慌てて母さんに駆け寄った。
「ユウキ、おかえり……無事に帰れてよかった……」
「無理に喋らないで!今薬を用意するから」
水を汲みに離れる僕を、弱々しい母さんの手が引き止めた。
「ユウキ、母さんはもう長くないの。それよりユウキ、王都はどうだった?」
「凄かったよ!うちの村がウソなんじゃないかと思うくらい栄えてて。ね、母さん、だからもう」
「ね、ユウキ、あなたはもっと広い世界を見られるわ。いろんなものを見て、聞いて、学んで、考えて……まだ想像もつかないことだってできるようになるわ」
だめだ、母さんはもう最期を覚悟してしまっている……!
薬だって飲んでくれない……。
「ねえ母さん、王都で、母さんの枕を買ってきたんだ。これで頭も楽になるから、だからさあ!」
「ユウキ、これから大切なことを言うからよく聴いて」
「――ユウキ、あなたのお父さんは、異世界から来た人なの」
「……え?」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
異世界?なんのこと?こんなときに出る冗談じゃない。
「あなたの名前……ユウキというのは、お父さんの故郷の国の言葉で、困難に立ち向かう力……挫けない心のこと」
「立ち向かう……力」
「あなたが苦境に負けないように、大事なときに背中を押してくれるように、お父さんの言葉をもらったのよ」
変わった名前だと思っていた。
音の響きが周りのみんなとあまりにも違うから。
そうか、僕は特別なお父さんから大切なものを受け取ってたんだ……。
「ユウキ、これからはあなたの行きたい道を行きなさい。母さんも、お父さんも、あなたの未来を応援しているわ」
そう言って、母さんは意識を失ってしまった。
僕は、母さんが息を引き取るまで王都のことを話していた。
母さんはやつれていたけど、最期はおだやかに笑っていた。
明朝、僕らは母さんを弔った。
ケビンさんも、村人全員を連れて弔いに来てくれた。
みんな、こんなにも母さんのことを気にしてくれていたんだ。
ドミニクさんはびっくりするくらい泣いていた。
実は人情に厚い人なのかもしれない。
そして、僕は、ひとつの決意をした。
「本当にいいのか?」
「ええ、ケビンさん、今までお世話になりました」
「気にするな。何かあったらいつでも帰ってこい。お前はこの村の人間なんだからな」
「ありがとうございます……では」
「おう、元気でやれよ」
「では、行きましょうか」
「はい、ドミニクさん。これからよろしくお願いします」
僕は、王都に行くことにした。
ドミニクさんの誘いを受けて、コルター家の世話になることにしたのだ。
15年過ごした村に別れを告げる。
父さんと母さんがくれた勇気を胸に、自分の足で新たな一歩を踏み出すんだ。
王都では、コルター夫妻が温かく迎えてくれた。
母のことを伝えると、「これからはここがユウキの家だと思ってくれていいからね」と抱きしめられた。
心の中に溜まっていた不安が解けていくようだった。
翌日からは、学校に通うための準備が始まった。
年明けにある入学試験のために、読み書きや計算を教えてもらい、最低限のマナーも叩き込まれた。
年越しには盛大なお祭りがあった。
生まれて初めてのお祭りに、一晩中はしゃいでしまった。
そして年が明け、入学試験の日になった。
この王都には、王立魔法学校と王立市民学校という2つ
の学校がある。
前者は、歴史や魔法、言語や数学など様々なことを勉強する学校だ。
大昔に勇者の装備を作り上げるために集められた魔術師たちが、弟子育成のために用意した学舎が前身だと言われている。
後者は、戦後に英雄王が、魔法が扱えない者にも知識を得る機会をということで新設した学校だ。
前者との大きな違いとして、魔法の科目がない。
僕はドミニクさんに見込まれて、魔法学校の試験を受けることになった。
筆記試験は基礎知識の確認のような内容、魔法試験は魔法の素養のチェックだった。
筆記は百人以上が一斉に受け、魔法試験は5人ずつ順番に行われた。
魔法試験では僕たちのグループ二歓声が湧いていたけど、誰か凄い人がいたんだろうか?
昼食をはさんで面接試験では、1人ずつ面接官との面接だった。
手応えなんて僕には全くわからなかったけど、ドミニクさんは心配しなくても大丈夫だといって僕を迎えてくれた。
数日後、無事に合格通知が届いた。
いよいよ学校生活が始まる――。
やっとあらすじの話まで書けました。
ここまで長くてすみません。
ここからはキャラクターも増えたり、賑やかにしていきたいと思ってますのでお楽しみに、応援よろしくお願いします。
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