表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚二世の革命記  作者: 霜月智
3/12

王都

遅い時間になってしまいました。

 母さんに行き先を伝え、王都へと発った。


 村と王都の間には森が広がっているので、迂回路を進む。

「申し遅れました。私はドミニク・コルターと申します。所属がわからないと不便ですよね。王都で何か聞かれたら、コルター商会の手伝いだと言ってください」


 道中、商人改めドミニクさんは自己紹介をしてくれた。

 王都での僕は、ドミニクさんの商会の新米の下働きということになるらしい。


「ドミニクさんは王都にはよく行くんですか?」

「私自身はあんまり行きませんね。ただ、王都にも店を出してて、うちの子に任せてるから、ごく偶に仕入れがてら様子見に行くくらいですよ」

「そうなんですね。てっきり王都に住んでる方かと」

「家はパンディアにあるんですよ。仕入れも普段は部下に任せてまして」

「ああ、それで今日は道を」

「ええ。まあ、おかげでユウキくんに会えましたし」


 ドミニクさんが笑う。

 その後はパンディアの話を聞いたり、ドミニクさんの家族の話を聞きながら馬車に揺られた。


 王都までは、特にトラブルもなく着くことができた。

 森を大きく迂回したことで、到着したころには夕方近くになっていた。


「夜になると少々物騒なので、明るいうちに着いてよかったですね」


 ドミニクさんはそう言いながら、王都の関所を抜ける。


「わあ……」


 思わず声が漏れた。


 整然と立ち並ぶ建物。大通り沿いには店の看板が並んでいて、そして何より、


「人がいっぱいです!あっちもこっちも!」

「これが王都エマルゴンです。今も賑わってますが、お昼頃だともっと人がいますよ」

「凄いです!見たことないものばかり!」


 大通り沿いの店には綺麗な服や家具が並んでいたり、料理の店からはおいしそうな香りが漂ってくる。

 露天には見たことない工芸品も並んでいる。


「あれは何ですか?」

「あれは長い髪の毛を纏めるものですよ。珍しいですよね。なんでも英雄王のもたらしたものだとか。さあ、今日はもう遅いのでうちで休んで、働いてもらうのは明日からにしましょう」


 落ち着かない僕を宥めて、ドミニクさんは家に案内してくれた。


 家はドミニクさんの息子さんのもので、息子さん夫婦が2人で住んでいた。

 2人は僕を見て驚いていたけど、歓迎してくれた。

 はじめての馬車の旅で疲れもあり、夕飯を食べたらすぐに寝てしまった。



 翌朝、


「悪いですよこんな」

「何言ってんの!そんな格好でお客さんの前に出るほうがよっぽど悪い!」

「お、結構似合うじゃないか」


 コルター夫妻に服を見立てられていた。


「これなんて格好良いんじゃない?」

「俺のお古だから気にするな。うーん、これなら直しもいらないな」


 戸惑う僕をよそに、2人は服選びを進めている。


「そろそろ決めてください。時間ですよ」


 ドミニクさんが助け舟を出してくれた。


「おお、様になってるじゃないですか。それで行きましょう」


 結局、服を一式貰ってしまった。

 薄い緑色の、落ち着いた色の上下セット。

 加えて、靴まで渡され、髪型も整えてもらった。


 鏡を見ると、別人のように綺麗になった自分がいた。


「わあ……」

「いい反応〜、やった甲斐があるねぇ」

「あ、ありがとうございます!」

「はい、それでしっかり働いてきな」


 ということで、野菜を持ってお店に行くことになった。



 ……野菜は、お店に引き取ってもらうだけで終わった。


「売る手伝いをするって話でしたが……」

「はい、お店に売れました」


 ドミニクさんがしれっと言う。


「時間に余裕ができたので、王都を見て回っていてもいいですよ」

「いいんですか!?」

「ええ。私はこれから店の仕入れなどもありますので、昼頃に合流しましょう」


 思いがけず、王都を散策できることになった。


「でもあの、折角服までいただいたのに」

「ええ、十分働いてもらいました。先ほどの八百屋の人、ユウキくんを見てニコニコしてたでしょう?」

「ええ、でもそれが?」

「もちろんそれだけではありませんが、相手に好印象を持ってもらうというのは、商売においてもとても大事なのです。それだけで成功率も上がるんですよ」

「でもそれだけでは……立っていただけなのに」

「私が良いと言っているのですから良いのです。行きたいのでしょう?若いうちからあまり我慢するものではありませんよ」


 と言われ、強引に送り出されてしまった。


 野菜の分だとお金ももらったので、気になっていた大通りの店をまわることにした。


 綺麗な服……はもらったので、家具の店に入ってみた。

 テーブルや椅子、棚などが並んでいる。

 中には細かく装飾の施されたものもある。

 ふと、寝具のコーナーが目に入る。

 ベッドや布団は手が出ないけど、枕くらいなら……

 良い枕にしたら、母さんも少しは、楽になるかもしれない。


 いくらか試してみて、首への負担が軽いものを買った。

 その後も、アクセサリーの店を覗いたり、果物を何種類か買って食べながら歩いてみたり、変な置物の露天で鳥の置物を買わされそうになったりした。


 家具店の店員さんに勧めてもらったので、通りを少し外れたところにある公園にも行ってみた。

 大きな噴水や綺麗なモニュメントがあったり、並木道は涼しい風が通り抜けていた。


 木漏れ日が気持ち良いベンチで休んでいると、ドミニクさんとの約束の時間が近づいてきた。

 大通りに戻ろうと路地に入って


「キャーーーーーーー!!!!!」


 悲鳴と一緒に1人の女の子が飛びこんできた。


「すみません!助けてもらえませんか!?」

お読みくださりありがとうございます!

よろしければブクマやいいね、コメントもお待ちしてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ