表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/2

アグリが学校までやってきたのは偶然で、偶々に過ぎない


 入学式。それは学校生活の中では対して思い出に残らないものである。そもそも知り合いの少ない状態でのイベントなどどれもそうでやたらと長い校長の話をどうにか時間を潰そう。何とか早送りにならぬものか、など目を細めてみても何も変わらず最終的に体育館の上に何個ボールが挟まっているか数える事に落ち着く。


 教室へ入っても静かな事は変わらず、数人の同じ中学のコミュニティは存在する様だがそれも周りの空気に圧迫され余り大きな声で話せないようだ。


 大抵の人間はどのように友達を作るものか、俺は中学では部活である程度のコミュニティを形成できた。俺は初対面の人に自分から人に話しかけるのが苦手だ。いわゆるコミュ障という奴だ。中学ではサッカー部に入っていた。サッカーはチームスポーツであるが故にコミュニケーションを取らない事には始まらない。そしてどの学校にもある程度の人数がいるだろう。俺の学校では20人を超える人数が所属していた。それだけの人数がいればクラスでボッチになる事はない。


 また、友達は友達の友達から成るものでもある。そこまでの人数がいればコミュニケーションを取るのが上手い奴が何人かいるだろう。ソイツらのお零れを貰いながら俺は中学では友達を作っていった。


 しかし、この高校では障害がある。この高校のサッカー部は全国大会に出場する程の強豪校であり、全国から推薦で上手い選手をかけ集めている。全国に出場する程の強豪校ともなれば練習はそれ相応にキツい。俺は努力が嫌いだ。体力トレーニングなどコーチや先生の目がないと今までサボってきた。そんな俺が全国レベルの学校の練習に耐えられるはずがない。


 よって俺は高校ではひっそりとコミュニティを築く事に決めた。


 話は戻るが今日は入学式、式典が終われば軽い配布物が配られカリキュラムなどが伝えられた後すぐ帰宅する事ができる。


 この学校はそれなりの人数がいるようで今日は新入生しか登校してないにも関わらず祭りの如く人で溢れていた。特に校門の前には凄い人集りが出来ている。みんな手にはスマートフォンを持ち写真を撮っているようだ。

 入学記念かその辺の類いだろう。生憎俺は今日その辺を望む親や友達がいない。


 しかし不自然に集まるものだ。校門の前で写真を撮りたいなら並ぶものだと思うが、まるである一点に集まるような......。


 「......っ!」


 違う勘違いだ。あれはアグリに見えるがよく似た別の猫だ。違う。コッチに来るな。


 俺は逃げるように顔を隠しアグリによく似た白い猫を抱き家に帰った。

 

 鍵を開け家に入る。


 そして今日起こった事を振り返ってこう結論付けた。

 

 『アグリが学校までやってきたのは偶然で、偶々に過ぎない』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ