離脱
親方から割と離れた距離にある郊外のビジネスホテルの位置情報が送られてきた
しばらくここに身を隠せということか
急いで荷造りをして、身分証はもちろん、今まで今日まで何処に居て流れてきたかの書類などの痕跡も全て破棄し、支度を整えた
と言っても僕は幼い頃に親をなくし、ほとんど天涯孤独に近い人生を歩んできたから、居た施設や学校やら、その情報をここに残さないだけ
『市内に奴らがきた』
不意に命さんが声をかけてきた
奴らの力か?
『なんにせよ、なら早急に出よう』
バンに2人の荷物を詰めて
急いで家を後にした
ふと、そう深くは気にしないけれど
ここに戻ることはあるのだろうか
日常に戻ることはあるのだろうか
一瞬過ぎった
そんな事を考えてる暇はないけど、不意に浮かんだ
『汝、我々の気配、存在を消したまえ』
命さんは石を胸に抱きハッキリとした口調で言った
『とりあえず、市内に奴らがいるけど、これでかち合うことはない。時間は永久じゃないけど、十分だと思う。行こっ』
車に乗りこみ、親方から送られた住所に向けて走り出した
僕らは無事、安全の保証がある程度あるけれど、親方、、大丈夫かな
不安を抱えながらも、親方はきっと大丈夫と信じて僕と命さんは車を走らせた