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12話 社長もケモナー


 社長に連れられて向かった先は料亭であった。ちなみにここもスターシティ系列だ。一見さんお断りのお値段も超お高い所で有名なのだが、こちらには社長が居るので問題無い。


 尚、ここまでの道中は翔自身が車で運転して連れて来てくれた。横で『これが車なのじゃな!』『速いのじゃ!』などと大興奮のきつねさんが居たが、どうやら車にも乗った事が無かったようだ……まあ、神様だしね。



「すみません、先輩、貴重なお時間を割いてもらって」


 どちらかと言えば、そちらの方が圧倒的に貴重な時間だと思う。


「あ、ここの店はセキュリティーがしっかりしてるから大丈夫だよ、一切情報が漏れないから。よく要人の打ち合わせにも使用されている店だからね」


 要人って……流石世界有数の超大企業の社長だな。


「ところで潤、この男前は誰じゃ? 先程から潤はやけにへこへこしておるが」


 ちょっとおお!! 言葉に気を付けて神様!! 元は連れみたいなものだったけど、今は俺の雇い主なの! 首切られちゃうでしょ!


「も、申し訳ありません!! ときめが失礼な事を言ってしまって!」


「ときめ? 呼び名変えたの~?」


「うむ、潤が付けてくれたのじゃ! 良い名じゃろ?」


 ああ、日本に帰って来て早々、職安に行かないといけないかも知れない……。


「先輩……」


 ほら、社長様がご立腹じゃないですか……終わったな……俺は今日からニートだ……。


「この場ではいつも通り翔で良いですよ。それに綺麗な彼女ですね、もちろん、神様ですよね?」


「うむ、ときめは神じゃ。きつねなのじゃ」


 ケモミミと尻尾を出して自分の存在をアピールしてる……とりあえず俺はクビにはならないようだ。良かった……。


「それでは失礼して……翔の秘書の方も神様ですよね?」


「はい、ひすいと申します~! 猫さんだよ!」


 すらりと長い尻尾と黒色のボブヘアーからケモミミが出て来た。そして続けざまにニャンニャンポーズを取り、自己紹介までしてくれるサービス精神に脱帽だ。


 その毛並みは透き通るような白色をしており、とても高級感がある。小柄でとても元気いっぱいの女性だ。


「ひすいさんは何の神様なんですか?」


「金運を司る神だよ~」


 成程、納得である……最強の後ろ盾かも知れない。


「ふふ、そんなのとは関係無しに僕はひすいの事が好きだからね」


「照れるにゃあ……」


 頭なでなでされて目を細めている……まあ、イチャラブもここではOKなんですね。


「む、潤! ときめもアレをして欲しいのじゃ! なんか気持ち良さそうなのじゃ!」


 ええ……社長の前で? 


「そ、それは家に帰ってからで……」


 ひすいさんはときめとはまた違ったキャラなので許される所もあると思う。ときめは見た目は長身巨乳のお姉さんだから、猫さんみたいになでなでするとちょっと違和感が……。


「して欲しいのじゃ……ときめも……」


 いっぱい撫でた。




 翔から懐石料理をご馳走になり、思い出話に花を咲かせた。しかし、いくら神様が付いていたとしても、世界有数とまでいえる企業にする為には相当努力した事だろう。俺も頑張らないとな。


「しかし先輩とバイトしている時から、何かあると感じ取っていたけど、まさか同じ趣味の女性が好みだったとはね」


 そう、俺も同じ事を考えていた。翔も俺と同じくケモナーだ、間違いない。


「ほんと、不思議な縁ですね」


「そうだね、これからは何かあったら僕を頼って下さいね! 神様の彼女なんてなかなか居ないと思うしさ。ね、先輩!」


 はは、軽いな……十年前と変わらずのようだ。


「こちらからもお願いしますよ、翔」



 


 再びショッピングモールの方へ戻り、お買い物の続きである。翔は査察の続きを行うようであり、その場で別れる事になった。社長さんは多忙ですね。


「さて、今日は雑貨の方を中心に買い揃えていきましょうか。帰りはタクシーで帰ればいいですしね」


 家からここまでは散歩がてら歩いて来たが、流石に荷物を持って歩くのは大変だからね。


「ときめは何か欲しい物はありますか?」


 うん? 何か向こうの方をじっと見ているが……。


「潤、あの店はなんじゃ?」


 えっと、どこですかね……服屋ではあると思うけど……おお、メイド服が店頭に……。


「ふ、服屋ではあるようですが……見て見ますか?」


「見たいのじゃ!」



 ショッピングモールにこんなお店があっていいんですか? なんかそっち系の衣装ばかりあるけど……もちろん、嫌いじゃないけど。日本も変わったねえ……。


 はっ! まさか翔の趣味か!? あり得る! 昔から俺とは趣味が合ってたし、査察に来てもスルーされているのは公認と言う事だ。恐るべし、スターシティ!


「これなんか可愛いのぉ、なんか巫女のようじゃ」


 どこがです? 明らかにメイド服ですけど。


「そうじゃ、ときめは割烹着が欲しいのじゃ! 料理する時に着るのじゃ!」


 それはまあ、必要ですね。しかし割烹着って流石のモールでも置いてないんじゃないかな?


「ときめ、割烹着は難しいかも知れませんが、エプロンならありますよ?」


 この店にあるのはふりっふりだけどね……。


「おお、これはいいのじゃ!」


 なんか気に入ったようだな……でもなぜメイド服も手に持っているのかな? それも気に入ったの? 流石に神様にメイド服を着させる訳には。


「これ下さ~い!」


 速攻買った。だって見て見たいし……。




「結構荷物が増えてきましたね」


「ときめはもうこれで十分なのじゃ、お金は大事にするのじゃ」


 なんだかんだ買い物をして両手はすでに埋まっている。まあ、この十年間、特に使う予定が無かった給料は貯めに貯めてある。これぐらいの出費はなんら問題無い。しかも海外手当も結構大きかったし。


「お金の心配は大丈夫ですよ。おや? 物産展をやってますね、おやつに何か買っていきましょうか」


「饅頭はあるかのう?」


 

 催事場には様々な食品が製造販売されており、ときめご所望の甘味のブースもあった。


「みたらし団子なんていかがです?」


「おおっ! 団子もよいのお!」


 ときめの趣味は和菓子のようある……ケーキとか食べるのかな?


「……ときめはケーキとかは食べます?」


「洋風菓子の事かの? 聞くには聞いた事はあるが食べた事はないのう」


 作ってくれる料理も日本食だしね……そうだ!


「じゃあ、みたらし団子を買って帰りましょう! あと最後に寄りたいお店がありますのでお付き合いお願いできますでしょうか?」


「分かったのじゃ! 団子、団子!」


 ……甘い物好きですねえ。きっと栄養は一か所に集中する仕組みなんだろうな。

 

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