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10話 それ、寒くない?


「待たされるって、こんなに辛い気持ちになるんですね……好きな人だと……」


「そうなのじゃ、ときめもどれ程寂しかったか――す、好きな人!?」


 いつまでも玄関で、しかもゴミの横で抱きついている訳にもいかないので、今は離れて珈琲タイム中である。ときめにはホットミルク砂糖入りを用意した。


「ええ、出会って一日しか経っていませんが、俺はときめが好きです」


 本人を目の前にしてかなり恥ずかしいセリフである。が、先程の抱きついた事を思えば大した事は無い。


「うぅぅ……嬉しいのじゃ……初めて言われたのじゃ。これが『ぷろぽーず』なのじゃな……」


 いや、プロポーズでは……まあ、それでも構わないんですけど。


「出かける時は一声かけて下さいね、心配しますから」


「はふぅ……祝言を挙げるのはやはりときめの神社かのお……いや、ここはあやつの所に行ってご利益を……」


 呆けた顔をして遙か彼方まで妄想が突き進んでいる……。神様なのにご利益貰いに行くんですね。


「とりあえず朝ご飯を食べましょうか。少し遅くなってしまったのでコンビニに行って何か買ってきましょうかね」


「な、何を言ってるのじゃ! 何の為に慣れぬ道を歩いて神社まで『あれ』を取りに行ったと思っておるのじゃ!」


 ときめの指さす方にはカウンターの上に置かれた風呂敷……梅干しがあった。


「今からすぐ作るのじゃ! 潤は待っておるのじゃ!」


 まあ、そう言ってくれるならお言葉に甘えようかな。しかし、朝から白ご飯なんて少なくとも十年は食べてないな。


「潤の服が汚れるから脱いでおくのじゃ」


 ああ、そういえば俺のフリース着てましたね。昨日持って来てもらった服を着ればいいのに。気に入っちゃったのか? まあ、それはそれで嬉しい――


「ちょ、ちょっと! ときめ! なんですか、その服は!?」


 フリースの下に覗いたのはチューブトップのトップス、もちろんへそ出し、肩全開である。お胸しか隠されてないじゃないですか……寒いってば……。


「どうしたのじゃ?」


 美月ちゃん……君のセンスと季節感を疑います。しかしときめもときめだ。服に関しては無頓着なのかな……。


「……今日、ときめの服を買いに行きましょう」


「おお! 潤が選んでくれるのじゃな! それならときめはどんな服でも喜んで着るのじゃ!」


 服は体温調節に必要だからね? まあ、ズボンはローライズ一択かも知れないけど。




 よし、ゴミと過去の秘宝も廃棄完了っと。お、お味噌汁のいい匂いがするなあ。


『ピンポーン』


 うん? また美月ちゃんかな? 


「は~い」


 ドアを開けると宅配のお兄さんが段ボールを抱えて立っていた。すっかり忘れていた、昨日のネットショッピングの荷物だ。


「毎度ありがとうございます。お荷物になります、ここにサインを――」


「潤~卵焼きには砂糖を入れても構わぬかのう? ときめはちょっぴり甘めが好きなのじゃ~」


 キッチンから出て来て、玄関に居る俺に向かって問いかけて来た。


「……お願い出来ますかねえ? ……リア充め」


 やた、お兄さん……憎しみのオーラが出てますけど? まあ、立場が逆だったら俺もそうなるかも。肌色率高過ぎな上に巨乳で美人だもんな……。



「なんじゃ、その箱は……まさかまた昨日の!?」


 そんな恐れ多い事はしません。まあ、ある意味、中身はそれに近い物だけど。


「これは昨日頼んだ、ときめの下着です」


「そ、そうであったか。済まぬのじゃ……早とちりしたのじゃ……」


「大丈夫ですよ、朝ご飯の方は出来ましたか? 俺、お腹ペコペコなんですよ」


「そ、そうであったな! 愛情をたっぷり注いであるので一緒に食べるのじゃ」


 嬉しい言葉である、それさえあればどんなものだって食べれる気がする……でも卵焼きには醤油付けさせてね?




 朝から白ご飯というのも中々のものだ。とても満腹感がある。それにときめが持って来てくれた梅干しがこれまた絶品であった。思わずお代わりしたぐらいだ。


「ときめは本当に料理が上手ですね、梅干しも美味しかったですよ」


「そうじゃろ、ときめが参拝客の切れ目に丹精込めて漬け込んだものじゃからのう」


 自家製!? しかもときめの手作り……なんて女子力、というかもはやおばあちゃの力量だ、まあ、年齢はそれを凌駕するが。



『ピンポ~ン』


 おお、きっと次はエアコンの業者さんだな。


「エアコンの取り付けに参りました~」


 これまた爽やかな若いお兄さんの業者さんだ。


「ご苦労様です、宜しくお願いします」




「これで、取り付けは完了ですね、暖房で試運転しますね」


 うん、これで快適空間になる。今日も結構寒いからなあ。


「おお、暖かいのじゃ!」


 ダメ! フリース脱いじゃ!


「凄いのじゃ~、とっても気持ちいいのじゃ~。はっ、でもこれでは潤とくっついて暖められ無いではないか!」


 やめて、ときめちゃん! そんな事を人が居る前で言うものではありません……。


「……試運転の方は問題無いようなので、これで失礼させてもらいますね? ……リア充、爆発しろ……」


 うん、聞こえちゃってるよ? 業者さん、急激に塩対応になった気が……。

 

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