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第壱拾七話 時の帰還

固まって移動していた龍牙達は小さな揺れを感じ、誰ともなしに立ち止まった。

「この揺れ、敵か!?」

サヴァリスの言葉にロッソは鞭を取り出すが残りの4人が全く動かないことを疑問に思ったのか、首を傾げた。

「これは先生のものだから心配いりませんよ。」

「なら、なおさら敵が近づいてきたのかもしれないんじゃ?」

「ロッソ、いつも言ってるでしょ?ちゃんと事前に侵入するところの周りの地形を調べろって。」

ケイミーの言葉に頷きながら龍牙は口を開いた。

「実はあの岩山は1つのもろい地層によって支えられています。

だから先生は局地的に振動を生み出し、無理やり岩雪崩を起こしたんですよ。」

ロッソが頷いたのを確認し、もう説明は必要ないと思った龍牙はまた歩き出した。





それからしばらく歩いていると、麗那は龍牙に駆け寄り、その腕をとった。

「ねえ、龍くん。」

「なに?」

いきなり腕にしがみついてきた麗那にちらっと視線を移したが、龍牙はあまり気にせずに歩き続ける。

「ううん。呼んだだけ。」

「なんだよそれ・・・」

「ふふふ。」

笑いながら麗那はより強く龍牙の腕にしがみついた。

「なあ、歩きにくいんだけど?」

「いいの。わたしを心配させたお仕置きよ。」

「意味分からないから。」

龍牙のその言葉から少し間を開けて麗那は口を開いた。

「ねぇ、龍くん・・・」

「ん?」

今度は龍牙は麗那にしっかりと目を向けた。

「わたし、本当に心配したんだからね?」

何のことを言っているのか瞬時に理解した龍牙は頷いた。

「うん。」

「それだけ?」

「ごめん。心配かけて。」

「ふふっ。素直でよろしい。」

麗那は微笑み目を閉じた。

「龍くん。」

「なんだ?」

「約束して・・・」

「なんだよ、急に?」

「いいから。」

麗那の真剣な表情を見て、重要なことだろうと予想した龍牙は静かに頷いた。

麗那は一度深く深呼吸をするとまるで宣言をするかのごとく言い放った。

「絶対にわたしの前からいなくならないで!!絶対に!!」

その約束の内容に龍牙はキョトンとした。

「わたしはイヤだよ。龍くんがわたしの前から突然消えるなんて。だから・・・」

「分かった。」

龍牙はその先を言わせず、その震える小さな体を抱き締めた。

「絶対に俺は麗那を置いてどこかに行ったりはしない約束する。」

「本当に?」

涙を溜めて見上げてくる麗那に龍牙はゆっくり頷いた。

「ああ。」


「お熱いね。」

そんな2人にどこからか声がかかった。

「誰だ!?」

突然の第三者の声に龍牙は麗那を庇うように前へ出て、辺りを見回した。

「ひどいじゃないか、忘れるなんて。」

龍牙はハッと顔をあげると、龍牙の立つ場所から数メートル上にある岩の上に誰か立っていた。

顔は逆光のため見えないが、龍牙はこの声に聞き覚えがあった。

「その声・・・」

麗那も気付いたようだ。

その影はサッと龍牙達前へと飛び降り、顔を上げた。

「やっと思い出してくれましたか。」

そこにあったのは『時の魔術師』、



ユウだった。










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