第七章第一話 ロスカ樹林
書き直しばかりしてて更新遅れました。はい、言い訳です
で、今回は新たな場所で新たなキャラ登場ですよ〜。
バサバサ
「キャッ!?」
暗い茂みの中から鳥が一羽飛び出したのに麗那が悲鳴を上げた。
ユウをスプリンクルに残したまま4人は北東へと進み始めて5日、目的地のあるロスカ樹林に入ってから1日が経つが、まだ村はおろか、誰一人として人を見かけていない。
「龍くん、怖いよ〜。」
周りはかなり太い幹の樹木が生い茂っているため、昼間にも関わらずかなり暗い。
暗いところが苦手ではないはずなのだが、麗那は龍牙の腕にしがみついた。
「放してくれよ。」
「そういうわりには顔がにやけてるぞ。」
「っ!!そんなことないですよ!!」
顔を真っ赤にして反論する龍牙を鶯劍は楽しげに眺めた。
「で、後どのくらいなんですか?私の予想だと結構北の方まで来たと思いますが?」
いつものことと言わんばかりにケイミーは冷静に尋ねた。
「さあな。」
「えっ?」
「まさか、また、迷子?」
「うわ〜、学習能力ないな〜。」
「うるさいわ!!」
「先生が怒った〜!!逃げろ〜。」
「はいはい、そこまでね。」
駆け出した麗那を受け止めるケイミー。
「で、どういう意味ですか?」
「向こうの奴らが見つけてくれないと村に入れないどころか近づきすらできない。」
「へえ。自動防御プログラムでも組み込まれているんですか?」
「さあな。恐らく魔術的な物だろ。」
鶯劍がそこまで言ったところで、上から鶯劍に向けて何かが放たれた。
鶯劍はそれを易々と指の間に挟んで止め、近くの巨大な樹木を見上げた。
「相変わらず物騒な挨拶だな。」
「へえ。流石ですね。」
すると、その樹の上から白く丸い何かが落ちてきた。
それは地面に触れる前にくるりと回転すると、短い手足がその中から現れ、音もなく着地した。
それを間近に見た龍牙は怪訝な顔をした。
ふさふさした白い毛に短い手足、極めつけには長い耳、それはまさしく・・・、
「・・・うさぎ?」
膝ぐらいの高さしかないその白い生物を見て、龍牙と麗那の目は点になっていた。
だが、それに対し1人だけ目を輝かせているのがいた。
「まさか、ヘレー族ですか!?」
ケイミーはしゃがみこみ、そのうさぎと目線を合わせた。
「僕達のことを知っているなんて、博識ですね〜。」
ひげをピクピク動かしながら、うさぎは感嘆の声を上げた。
「いえ、それにしてもヘレー族はすでに絶滅していたと聞いていましたけど。」
「ああ、それは、この人に頼んだことらしいですよ。」
小さい手で鶯劍を指す。
「まあ、その話は後にしましょう。で、ご用件は?」
鶯劍に向き直り尋ねるイブ。
「『あれ』を取りに来た。」
「なるほど、ならついて来て下さい。
おばば様のところへ案内します。」
歩きだそうとイブは足を踏み出したが、すぐに振り返り龍牙達に頭を下げた。
「そうだ、申し遅れました。
僕はイブといいます。よろしくです。」
「イブさんですか。俺は龍牙、こっちが麗那でその目の前にいるのがケイミーさんです。」
「イブでいいですよ。で、あの、えっとケイミーさん?」
「はい?」
「いい加減降ろしてはもらえませんか?」
いつの間にかケイミーはしっかりとイブを抱きしめていた。
「ん〜、無理ですね。」
嫌がるイブなど構いもせず満面の笑みで頬ずりするケイミー。
イブもイヤイヤと手足で踏ん張るが結局は疲れきってケイミーのなすがままとなってしまった。
「イブ、どっちだ?」
「ま、まっすぐですぅ・・・」
疲労困憊しているイブなどお構いなしで鶯劍を先頭に4人(と一匹)は言われた方向へ歩を進めた。