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第壱拾七話 将軍

また更新が遅れてしまい申し訳ありません。

「さあ、私を楽しませてくれ。」

ラミレスは腕を広げ、龍牙達に近づく。

3人はというと、そのあまりの殺気に全く体を動かすことができなかった。

そして本能が告げていた、『逃げろ』と。

「来ないのか?なら、私から行かせてもらおうか。」

3人はハッとし、それぞれ横へと飛ぶ。

すると、パチンと指を鳴らす音と共に、3人がさっきまでいた所は大きな音を立て円形に陥没した。

「よく避けられたな。ならこれはどうだ?」

笑みを浮かべながらラミレスは右手を真っ直ぐ伸ばした。

「『暗黒吸綴(グラビティ・ホール)』」

「なっ!?」

すると、ユウの体はその腕に吸い寄せられ、宙に浮いていた。

とっさに杖を地面に突き立ててしのごうとしたが、あまりの強力な引力にユウは耐えきれず、杖を手放してしまった。

「くそっ!!」

龍牙は腰に差してある『雷鮫』をラミレスの手めがけて投げつける。

それは、ラミレスの技のためか、どんどん加速してラミレスの体の中心へと迫る。

「ふっ。」

ラミレスはそれを避けようとはせず、ただ伸ばした右腕を横へ振った。

すると、それにつられるように、『雷鮫』は軌道を変え、ラミレスのすぐ横にある木を数本貫いて止まった。

「くっ。」

ドサリと宙に浮いていたユウが地面に落ちた。

それを見ていた龍牙が口を開いた。

「引きつけられる対象は1つだけ、か。」

「さあ、どうだろうね。」

ラミレスは両手を肩まで上げ、大げさに肩をすくめると、左腕を斜め上に伸ばした。

刹那、その手と黄金の刀が衝突した。

「君はどう思う?鬼神くん?」

「先生!?」

そう、ラミレスと鍔迫り合いをしているのは鶯劍であった。

「知るか!!」

鶯劍は刀から凝縮した冥力を斬撃として放った。

また派手に砂煙が舞う。

「全く、つれないな。」

その奥からまたあの少し高めの声が聞こえた。と思うと、龍牙達に強風が襲い、一瞬にして砂煙が吹き飛ばされた。

「お前に付き合っているほど暇ではないんでね。」

タバコをくわえた口でぼそぼそと呟く鶯劍。

「そうか、それは残念。おっと。ちょっと失礼。」

ラミレスが伸ばした左腕に鶯劍以外全員が警戒するが、彼は、右手で軍服の懐から携帯電話型の通信機を取り出し話し始めた。

「私だ。・・・そうか、分かった。」

ラミレスは片手で通信機を閉じながらため息を一つつくと、龍牙達に視線を向けた。

「すまないが、用事が入ったようだから、これで退かせてもらいたいのだが・・・」

「却下だ。」

「やはり、そうなるか。」

やれやれといった風に肩をすくめるラミレス。

「仕方がない。無理やりにでも通させてもらおうか。」

ラミレスは両手を前に出した。

「避けろ!!」

「「「えっ!?」」」

鶯劍の突然の言葉に驚き、反応が遅れる3人。その間に、龍牙のすぐ横にあった子供ぐらいの大きさの岩が砕け散った。

「マジですか!?」

それを見てハッとした3人は走り出す。

龍牙と鶯劍は右へ、ユウとケイミーは左へ進む。

それに対しラミレスは一歩も動かず、指を鳴らす速度を上げた。

初めは中指だけだったが、今では4本の指を一度に連続で鳴らしている。

「どうしたんだい?この程度か?」

またあの笑みがラミレスの顔に浮かぶ。


「先生、どうするんですか?」

右足を狙ってきた見えない弾にひやりとしながら龍牙は尋ねた。

「知らん。」

しかし、返ってきたのは予想の斜め上を行く答えだった。

「はい?あの人と会ったことがあるんじゃないですか?うおっ!?」

不可視の弾は、今度は龍牙の額を掠めた。

「会ったことはあるが戦ったことはない。」

「なんでですか?」

「お互いがかなりの力の持ち主だ。なら、勝った方も無事ではいられない、だから闘わなかった。」

2人は近くの大きめの岩影に隠れる。

背中にガキィンガキィンという不吉な音を聞こえる、どうやらまだ貫通には時間がかかるようだ。その間に龍牙が尋ねる。

「かなりの力の持ち主って、いったい?」

「あいつは恐らく今の帝国軍のNo.3だ。」

「!?」

「ちなみにジャッジメントの全統轄権はあいつになる。つまりあいつが実質的なリーダーだ。」

「じゃあやっぱり」

「ああ、多分力を抑えてるんだろうな。それで岩を粉砕するんだから驚きだ。」

「で、どうします?」

「さあな。ただ今言えるのは、」

「言えるのは?」

「ここから離れるぞ!!」

「えっ!?ちょっ!?」

突然駆け出した鶯劍。それを追おうとした龍牙だったが、その背に爆風が大小様々な岩の破片と共に襲いかかり、吹き飛ばされた。

「そろそろ行かしてもらっても構わないかい?」

呆れたようにラミレスが呟く。

「言い訳」

「ないでしょ!!」

が、その後ろからユウとケイミーの2人が飛びかかった。

ラミレスはそれをまたかわさず、体を回転させながら左腕を振るう。

すると、鶯劍のように2人の攻撃は空中で完璧に止められてしまった。

「ちぃっ。『空間呪縛(スペース・ロック)』!!」

ユウは体を弾き返され、地面を滑りながらも手に握る杖を振り、ラミレスの動きを止めようとする。

その横に黒い剣へと変形させた剛石(クリスト)を握るケイミーが並んだ。

そんな2人をまたあの笑みを浮かべた顔で見た後、宙に縫い付けられてしまった両腕に目をやるラミレス。

「ほう。『時空魔法』の使い手が『まだ』いたか。だが、」

その顔から笑みが消える。

「弱い!!」

その言葉が発せられると同時に、ユウの体は後ろへと吹き飛ばされた。

「なっ!?」

腕を縛ったことに安心していたユウはその攻撃に対処出来ず、背中から地面に落ちた。

ケイミーはとっさに横に飛び退き、そこから一直線にラミレスに切りかかる。

「なっ!?」

しかし、その攻撃は宙に縛られていた筈のラミレスの手によって軽々と止められてしまった。

「なんで!?」

「仲間の能力は知っておくべきだよ。」

ラミレスはそのまま、ケイミーの横腹に蹴り込む。

「がはっ!!」

ケイミーは黒い剣を持ったまま、蹴り飛ばされ、背中から木の幹にぶつかる。

「ぐっ!!」

ケイミーは、あまりの衝撃に肺の中の空気が押し出された。

酸欠のためか、視界さえも霞み始めていた。

(体に、力が・・・)

体がピクリとも動かない。

ぼやける視界の中、ユウの方へと向かうラミレスの背を見ることしかケイミーにはできなかった・・・。







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