番外編 ユウとの出会い
番外編、第2弾です。
そういえばさっきアクセス数を見たら1万を超えていました。しかも、今回、第50話目、本当、嬉しいことだらけですね。
テスト期間中に何を言っているのやら。
「ユウさん、どうかしたんですかね。」
ケイミーが両手で持ったカップの湯気を見つめながら、心配そうな表情を見せる。
「ふん。相変わらず何を考えているか分からないやつだな。」
鶯劍がため息をつきながら呟く。
一行は白斗の父、白夜の宿の一室に集まっていた。
「そういえば先生。」
「ん?」
龍牙の呼びかけにカップの中のコーヒーをのみながら目だけを向ける。
「ユウさんとはどういう関係なんですか?」
「・・・ふぅ。」
コーヒーを飲み干し、一息ついた後、龍牙ではなく天井を見ながら話始めた。
「あいつと会ったのは、もう30年ぐらい前か。 ある街の飲み屋の前で、不良を気取っていたあいつが俺に喧嘩をふっかけて来やがってな。」
過去を懐かしむように話す鶯劍。
「どうだったんですか?」
「ボコボコにしてやった。それからか、あいつはそういうのをやめて、毎日毎日俺を追いかけ始めたんだ。その度に返り討ちにしていたけどな。」
「だけど、ある日を境にあいつはぱったり来なくなった。あきらめたのかと思ったけどな、妙な胸騒ぎがして、辺りを探してみたんだ。そうしたら案の定あいつは、その時いた地域を仕切っているデカいグループとやりあってたんだよ、たった1人でな。その時のあいつは本当に弱くてな、ボコボコにされたな。」
「で、先生はどうしたんですか?」
「ん?ああ、俺はあの時はお前みたいにお人好しだったからな、助けにはいったさ。だけど、さすがにあの時は死ぬと思ったな。2人で500人しかもナイトクラスまでいたんだからな。」
コーヒーに口をつけ、続ける。
「そんな時だ、いきなり目の前に凄まじい量の光が降り注いだんだ。
とっさに閉じていた目を開けてみたら、つい数秒前まで吐いて捨てるほどいたはずの不良どもが跡形もなく消えていて、代わりに1人だけ、俺らに背を向けて立っていたんだ。」
その人は俺がじろじろ見ているのに気づいたんだろうな、こっちに振り返って話しかけてきたんだ。
『大丈夫か?』
『え?あ、はい。』
『大丈夫です。』
『そうか、良かった。』
『あの、あなたは、いったい?』
『私か?私はたんなる少し強い旅人だよ。』
あの時、あの人がつけていた盾みたいなデカい時計が不気味に光ったのをまだ俺は覚えている。 それくらいあの人との出会いは衝撃だったんだ。」
「じゃあ、2人が言っていたあの御方ってもしかして、」
「ああ、そいつだ。
ユウが持っていた杖があるだろ。あれはあの人があいつに一人前として認めた証として渡したんだ。あいつはそれから弟子にしてもらって、ずっとあの人についていたからな。」
「黒いフードに盾のような時計・・・どこかで聞いたような・・・」
頭を抱え必死に思い出そうと唸るケイミー。
「じゃあ、その人の名前は?」
麗那が尋ねる。
「ああ、その人の名前はな・・・やっぱりやめておこう。」
「えぇ〜」
言いかけて途中でやめたことにブーイングの嵐が起こる。
「まあ、そう言うな、そのうちいやでも会うことになるんだからな。少しは我慢しろ。
それよりもそろそろ市場に行かないか?」
3人をたしなめようと、話題を変える鶯劍。
「そうですね。行きましょう。」全員イスから立ち上がり、街へと繰り出した。