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第三話 試験2

攫犀達に連れられ龍牙がたどり着いたのは、北にある岩山の山頂付近にある洞窟だった。

ここは、基本的に立ち入り禁止になっている場所である。

龍牙達は攫犀を先頭にその中を進んでいた。

龍牙は、この洞窟は自然に出来たものだと思っていたが、壁は石が積まれ、松明が壁に着いていたのを見るとどうやら人工的に作られた物のようだ。

叢炎にそれら1つ1つに火をつけてもらいながら細い通路を歩き続けた。



どの位歩いただろうか。

薄暗い中、急に攫犀は足を止めた。

「ここだ。」

そこは、今までの通路とは違うだだっ広い部屋のようだが、あまりに暗く奥が見えない。

叢炎が部屋にある松明へと火をつけると、やっとその部屋の全貌が明らかになった。

そこは神殿であったように、脇には柱が連なり、その一番奥には石で造られた、巨大な龍の頭が口を開いていた。

そのあまりの大きさに龍牙は驚きを隠せなかった。

「ここは、元々、私たちを外から守ってくれている龍王様に祈りを捧げる場所だけど、実は別の目的があるんだよ。」

叢炎が説明した。

「別の目的?」

 龍牙の質問に隣にいた青冥が答えた。

「覇剣を生み出すためだ。」

龍牙はあの大きな竜頭を見た。

「あの龍、『龍王の首』と呼ばれているが、あの口の奥に何らかの武器の持ち手があるんだ。

どういう仕組みなのかは知らんがな。」

「あの中に、ですか?」

龍牙は大きく開かれた龍王の口の中を見つめた。

攫犀は頷き、龍牙に向き直る。

「それが第二の試験だ。あの龍の口の奥にある武器を取ってくるんだ。」

「えっ!?それだけですか?」

意外そうな顔をする龍牙。

それに意味深な表情を浮かべる攫犀。

「実は、あの竜頭は不適と思った者の腕を咬みちぎるらしいぞ。」

その言葉に龍牙の顔から笑みが消えた。

「ここまできたらもう戻れないぞ、龍牙。

あの蒼龍ですら、というより龍人兵の3rd以上はこの試験に合格してるからな。」

「父さんも・・・」

「お前はあの人を倒したいんだろ?」

力強く頷く龍牙。

「なら、この試験すらできないようじゃ敵討ちなんて無理じゃないのか?」

龍牙はその言葉を聞き、顔を上げ、『龍王の首』が待つ祭壇へとすすんだ。

「そうだよな。俺にはやらなくちゃならないことがあるんだ。」

龍の前に立ち、一度深呼吸する。

より一層集中力を高め、思いきって口の中へと腕を差し入れた。

肩まで口の中に入れると、手に何かが触れるのを龍牙は感じた。

(これだ!!)

できる限り腕を伸ばし、それを掴むことができた。しかし、なぜかそれを抜き出すことができない。

(な、なんで!?)

そうなるのも仕方がなかった。『龍王の首』とは元々、大人用に造られたものだからだ。

だが、龍牙は突然のことにパニックになってしまい、ただひたすら引っ張ることしかできなかった。

その時、さらにそれに拍車をかけるかのように、その龍の口が徐々に閉まり始めた。

唯一の救いは上下同時ではなく、上だけだということだけだった。



くそっ。このままじゃ。

離れた所から見る攫犀達も気が気でなかった。 しかし、攫犀達は次の龍牙の行動を予想することができなかった。

「俺は!!こんなところで止まってる暇はないんだよ!!」

龍牙は叫びながら自分の差し入れている右手に力を注ぎ込んだ。


「な、なんていう量の冥力。あんな子供が!?」


そして、龍牙はその右腕を引き抜いた。

ドゴオォン


大きな音と共に辺りに細かな粒が飛んだ。


攫犀がそれの一つを手に取り見てみるとそれは小さな石像の破片だった。

それが飛んできた方を見ると、そこには、右手にあの巨大な竜頭を、ついていた壁ごとぶら下げている龍牙がいた。


すぐにひびが入り、崩れ落ちたその竜頭の中から出てきたのは、


龍牙の身長の2倍はゆうにある、『青龍円月刀(せいりゅうえんげつとう)』と呼ばれる巨大な片刃の刀であった。


今、目の前で起きたことをやっと理解できた3人は、ハッとして、龍牙の元へと駆け寄った。

龍牙自身もまだ理解できていなかったようで、ぼーっと穴の開いた壁を見ていたが、そんなことはいざ知らず、攫犀はその肩を叩き声をかけた。

「龍牙、よくやったな。お前ならできると思ってたぞ。」

 叩かれた龍牙はビクッと飛び上がりそうになりながらも、一拍置いて微笑んだ。

「あ、ありがとうございます。」

「だけど、お前よくあれを壊せたな。」

龍牙はその言葉に、自分のしでかしたことを思い出し、攫犀に深々と頭を下げた。

「すいません。大切な像を壊してしまって。」

「別にいいぞ。どうせ勝手に再生するだろうし。」

即答する攫犀。

「はい?再生?この像がですか?」

「ああ。だからここ、こんなにきれいなんだよ。」

その言葉にホッとする龍牙に攫犀は引き締めた声で言った。

「我狼 龍牙。汝が第二試験合格したことをここに認める。


とまあ、これから次の試験といきたいが、すこし時間がかかるからな、待っていてくれ。」

「分かりました。」




この後、試験が始まるまで龍牙は3時間も待つはめになった。







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