第二章第一話 刺客
もし読みにくい、ここの表現がおかしい、など感じたことがあれば言っていただけると嬉しいです。
辛口もというより辛口を歓迎します。
普段と変わらない朝日を浴びて、龍牙は目を覚ました。
戦いが終わって4日が経った今日は、使者としての契約の日である。
龍牙は起き上がり、母親に用意してもらった我狼家の家紋が胸に刻まれた、黒を基調とした白狼村独自の戦闘服(少しゆとりのある黒いTシャツ(特殊繊維使用)。それに黒い長ズボン(上に同じ)、そして手袋(特殊繊維+衝撃吸収素材+滑り止め)を着ると、背中には村最先端の技術を駆使して作った機械剣と呼ばれる片刃の大剣を背負っていた。
その刀身にはいくつもの筋が走り奇怪な紋章を描いていた。
そして一番目を引くのは、柄と刀身の繋ぎ目から刀身の真ん中あたりまではめ込まれた透明の結晶である。
その腰にはまた30センチほどの刃を持つ、ナイフのような小刀を差した。
その刀身にも背中の大刀と同じように真ん中に結晶が埋め込まれていた。だが、その色は透明ではなく見る者に元気を与えるような鮮やかな黄色だった。
どちらも、性能のみならず見た目もかなり意識したのが分かる斬新なデザインである。
支度を終え、広間に行くと残された家族である母親と弟がそこにいた。
「じゃあ、母さん、いってきます。」
「緊張して恥かかないようにね。」
「うん、わかってる。」龍牙は、戦闘用のタクティカルブーツをはき玄関を出るとすぐに足に冥力をため、その凄まじい脚力を使い、宮殿へと駆け出した。
疾風のごとく駆け抜けながら、龍牙は左手で左の脇腹を抑えた。
そこは、あの日龍幻に貫かれたところだった。
傷口はなぜか最初に目が覚めた時には跡形もなく治っていた。だが、時々今みたいにうずくように鈍い痛みが走る。
そんな龍牙は顔をしかめ、速度を少しずつ落としながら、走り続けた。
宮殿まで後数百メートルというころでは、龍牙の額には汗が浮かんでいた。
(少し歩くか)
龍牙は、痛む腹をかばいながら歩き始めた。
少し進んだところで龍牙は周りで微かな殺気を感じた。
(1、2、・・・5人か。)
龍牙は迷った。自分がどれくらいの力を持っていてどこまで戦えるのか、はっきりと認識をしていないからだ。
(向こうが仕掛けてこないならわざわざこちらから行く必要はないな。)
戦わない、という選択肢を選び、スピードを少し上げようとした瞬間、龍牙に向かって突然強い風が吹いた。
つむっていた目を開いてみるとその時にはすでに、龍牙は見覚えのない者たちに周りを囲まれていた。
5人とも顔を仮面で隠しているため男か女かわからなかった。
しかし、龍牙は全く動じなかった。
「俺に何かようですか?」
龍牙がにこやかにそう尋ねたが帰ってきたのは前に立つ敵(面倒なので、敵A、B、C、D、Eとする)Aの拳だった。
龍牙はため息をはきながらその腕に右手を添え、受け流しながら右膝を相手の腹に打ち込んだ。
冥力で強化した膝による蹴りはメキメキと嫌な音をたてながらAを向かいの空き家まで吹き飛ばした。
しかし、それに怯むことなく残りの4人はそれぞれの武器を取りだし、龍牙に踊りかかった。
龍牙は右手で背中の機械剣を、左手で腰の小刀を逆手に抜刀し、その抜き出した勢いを殺さず、前へと振り出した、それを真っ正面から受け止めようというBを、その手に持つ槍を両断した。
顔を縦に斬られたBは噴水のように血を噴き出しながら倒れた。
龍牙はそれを確認する時間も惜しいのか、そのまま踏み出していた右足を軸にからだを反転させ、低姿勢のままCに向かって横に凪ぎ払う。
しかし、その時、大刀の重さに慣れていないせいか、その幼い体はぐらついてしまう。
残りの2人がそんなすきを見逃してくれるわけもなく、左右から龍牙を挟撃した。
それを見た龍牙はとっさに左手に持っていた小刀をDに投げつけた。しかし、それはなんなくかわされてしまう。
「もらった!!」
Dは、渾身の一撃を龍牙に叩きこみ、派手な土煙が舞い上げた。
だが、Dの拳は龍牙を捉えてはいなかった。
それに戸惑いの色を見せたDは後ろに気配をかんじた。
「な、なに?」
そこにいたのは、投げつけた小刀をDの背中に突き刺した龍牙だった。
その時、龍牙の頬を一発の弾丸が裂いた。
その方向に目をやると、最後の1人であるEが右手に剣、左手に銃を構えていた。その銃にはかなりの量の冥力が注がれていることに龍牙は気づいた。
カチンという音とともにその先端が光りはじめる。
Eはニヤリと笑い、叫んだ。
「死ねや!!」
「お前がな!!」
Eはギョッとした顔をした。
なぜなら、その声が自分のすぐそばから聞こえたかからだ。
そっちに顔を向けると、そこにいたのは空中にある大刀を掴む、龍牙だった。
「くそっ」
Eは右手の剣を防御に、左手の銃は迎撃のために龍牙の方へと向けた。 しかし、龍牙の冥力によって強化された身体は、それすらも許さなかった。
「うおおぉぉぉぉ」
だが、Eも対抗しようと右手の剣でその刃を受け止める。
龍牙はそれを気にせず、より膨大な冥力を両手で持った大刀に注ぎ込み、解き放った。それは龍の牙を連想させる形をした無数の斬撃となってEを襲った。
Eはボロボロの剣を構えたまま、全身を無数の刃に刻まれ、血を盛大に吹き出しながら倒れた。
龍牙は、一番ダメージが軽いだろうと思われる最初に蹴り飛ばしたAに近づき、大刀を向けた。
「お前らはだれだ?この村の者じゃないよな。」
「誰がお前なんかに・・・」
龍牙はさらにその男の首筋に大刀を押し付けた。
その首から一筋の血が垂れた。
「お、俺たちは『狼面衆』と名乗っている、依頼されたものはなんでもやる、いわゆる何でも屋だ。」
明らかに龍牙に対して怯えているのが分かるような震えた声で素直に答えた。
「何でも屋か。依頼されたというなら、依頼主は誰だ?」
「そ、それは・・・ そ、」
今まさに名前を言おうとしたとき、風船が割れるような音をだしながら、そのAの頭が吹き飛ばされた。
飛ばされた頭は、ボールのように何度もバウンドしながら転がり、本体は首から火山の噴火のように大量の血を吹き出しながら前のめりに倒れた。
それを間近で見ていたはずの龍牙はさほど驚かず、わざとらしくため息をついた。
そして、振り向きながら呆れた声を吐き出した。
「これはいったいなんの真似ですか、鉄さん。」