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第壱拾弐話 白銀の流星

 龍牙が避難所から飛び出している間も、光は龍牙を包み込み、龍牙の身体は変化を続けた。

 そんな龍牙の後を追うように白銀の光が帯状に伸びていく。


 やっと空中に止まったと思った時には、全身は銀色のウロコで覆われたドラゴンへと変わっていた。

 大きさはもとの龍牙と変わらない。だが、それが纏うオーラは猛獣のような殺意に満ちたものだった。

 なにより一番変化をもたらしたのはそんな目に見えるモノではなく、龍牙という人格そのものであった。

 そこに飛んでいる龍牙は、尖った歯をむき出し、銀色のドラゴンの目を絶え間なく動かして周りの様子を窺っていた。

「ギャハハハハハハハハ、やっとだな!!」

 何故か、龍牙は天を仰ぎ、笑い始めた。

「ありがとよ、龍牙。思いっきり心を乱してくれてよ。感謝してるぜ。

 おかげで、『扉』が簡単に開いたからな」

 龍牙は感触を確かめるように手を閉じ開きした。

「カカカ、そのお礼といっちゃあなんだが、ここらにいる敵を片っ端からぶち殺してやるよ。

 そうだな、まずは、あそこの戦艦からにするか」

 龍牙はそういいながら、右手を開き、それをマンティコア艦隊の方へとむけた。

 すると、その手の前で白く輝き始め、ものの数秒で光は球体へと形を整えた。

「じゃあな、悪者の皆さ~ん。今からこの俺様が正義の鉄槌を下してやるぜ」

 龍牙は、右腕を少し動かし微調整を行い、口端を吊り上げたままその光の球を艦隊に撃ち込んだ。




 その光の球がある一つの戦艦に当たると、一拍おいて、20艦以上が固まっている艦隊の半分以上を覆うドーム状の光が出現した。


 そして遅れて発せられた爆発音は大地を揺るがした。







 突然の凄い揺れにテルムは立つことができず、しゃがみこんだ。

 だが、その揺れもすぐに収まり、窓の枠に捕まりゆっくりと立ち上り、そして、惨状を目の当たりにした。


 ついさっきまですぐそこにあったはずの戦艦が跡形もなく『消えて』いたのだ。


「なんだ、これは?いったいなにが起こったんだ!?」

 光が消えた後、そこに残っていたのは、隕石でも落ちたと言わんばかりの巨大な穴と原型を留めていない戦艦の残骸だけだった。


 あまりの衝撃に身動き一つとれず、テルムは窓の外にある惨状から目を離せなかった。





 その頃、蒼龍はマンティコアの上に立ち、タバコをふかせながら、惨劇を見て笑う銀色の龍を見据えていた。


 そんな蒼龍の後ろにはいつの間にか1人の若者がひざまずいていた。

「ふん、やはり他に乗っ取られたか」

「そのようです」

「相変わらず未熟者だな、あいつは」

 くわえていたタバコを落とし、踏み潰す。

「よくもまあ、あれで龍影を名乗ろうとは、思い上がりも甚だしい。

 なあ、龍幻?」

 蒼龍は後ろの若者に問いかけた。

 その若者、龍幻は何も反応せずただ頭を垂れていた。

 そんな龍幻を見、面白くなさそうに鼻を鳴らしながら蒼龍はまた、疑問を龍幻に投げかけた。

「なあ、我が息子よ。あの親不孝者は近い未来、私の障害とになると思うか?」

 今度は龍幻は呟くようにして返事をした。

「・・・おそらく。仮にも、神龍使いですから、それなりの力をつけるかと。」

 その答えに蒼龍は少し笑みを浮かべた。

「そうか、どうやら面白くなりそうだな。ククク。」


 黒煙が上がる中、戦場には2つの笑い声が響いた。






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