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第壱拾壱話 合同会議

アルカディア帝国


中央省35~40階 大講堂


『皇帝の間』が最上階である49階にある中央省。その35~40階までの6フロアをぶち抜いて作られた大講堂にはすでに3000もの人がひしめいていた。

今日は月に一度の国際会議の日である。

ここでは『ジャッジメント』などを含むアルカディア帝国内政を司る『栄光の九柱(ラスターナイン)』とWNP(独立治安維持部隊)を持つ世界中の国々の代表の集まりである『世界政府』側の2つに分かれ議論が交わされるのだ。

入り口のある南側から見て左側が皇帝側、左側が世界政府だった。

正面には議長が3人。

真ん中の1人はアルカディア帝国出身だが、残りの2人はヒドゥン国とユーラス公国の出身だった。

そしてその上には脇に蒼龍を従えた皇帝が腰を下ろしていた。

両者合わせて議員や参加権を持っている者は合わせても500ほど、にも関わらずこれだけの人数がいるのは、帝国軍またはWNPの隊員たちが拝聴に来ているからだ。

間もなく会議が始まるということで37~40階まではもう満席状態だった。

「静粛に!」

真ん中に座る議長の声に、一気に場が静まり返る。

「これより、ラスターナイン、WNPの合同会議を始める。

本日の議題は、『暗黒地帯』についてである。

では、ラスターナイン側、説明を。」

発言権を与えられている最前列に座っていた青年が立ち上がり、『声音拡声器(マイク)』を手に話し始めた。


「みなさんご存知の通り、暗黒地帯には百を超える小国が連なっていました。」

青年の声に合わせ、入り口の方向に取り付けられたモニターに映像が浮かび上がる。

「ですが、3ヵ月前からこの小国の数は減り続け、ついには」

モニターに映っている西大陸の地図上に描かれていた国境線がどんどんとその数を減らし、

「1つになりました。」

ついにはその大陸には国境線がなくなった。

その言葉に世界政府側から驚きの声があがる。(ラスターナインにいる者達は知らされていた)

「あの暗黒地帯を統一したと言うのか!?」 世界政府側の最前列に座る初老の男が出した疑問に、他の議員達は青年にまた視線を向けた。

「はい。」

またざわめきが起こった。西大陸に関する情報はあまりにも少ない。それがまたこの衝撃の事実に対する驚きに拍車をかけていた。

「静粛に!」

議長の一声でまた静まり返る。

「その国はいったい?」

青年は息を少し吸い答えた。

「『魔天道』」

その言葉に本日最大のどよめきが大講堂内に木霊した。

「まさか!?」

「そんなバカな!?ありえん!?」

「あいつが生きているのか!?」

「静粛に!静粛に!」

議長の制止の声がかかってもそのざわめきは収まらず逆に増していった。


「黙らぬか!!」


そんな中、建物を揺らしたような感覚を覚えさせる大声に議員達、そして隊員達は静まり返った。

その声の方へ目を向けるとそこには仁王立ちした皇帝の姿があった。

「馬鹿者が!!今やらねばならぬことは喚くことではない。いかにこの事態を穏便に収拾するかではないのか!!

喚くなど後でもできる!!だが、会議は今しかできぬ!!それを考えろ!!」

皇帝の喝に世界政府側の人間は全員が全員、罰の悪そうな表情を浮かべ、それぞれの席に戻った。






それから5時間にも及ぶ議論の結果、

「では、この『魔天道』に対し我らアルカディア帝国は、まず世界政府に参加するよう交渉する、次にそれに応じない場合は世界政府の軍事力を使って繊滅することとなった。以上、解散!」

議長の言葉を最後に会議は終了した。

その結果を皇帝の脇で聞いていた蒼龍の顔には笑みが浮かんでいた。







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