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赤坂小道の退屈

この話は、小道の入院中の話です。


[生徒会の新役員]の続きではありません。


そういうことで、宜しくおねがいします。

[赤坂小道の退屈]


俺は今、病室でご飯を食べている。


「小道、はいあーん」


「いいから、自分で食べられるって、左腕は使えんだから」


「何言ってんの?お姉ちゃんが食べさせてあげてるんだから、ありがたく思いなさいよ」


姉貴はそう言うと、再び食べ物を近づけてくる。


「はい、あーん!」


「いや、だからいいって、、、あーん、、」


俺は仕方が無く食べた。


「はーい!よく出来ました!」


(ウゼェ、、)


俺は救急車で搬送された後、病院で手術を受けた。


ハサミは右の二の腕に刺さっていたが、そんなに深くは刺さっていなかった。


お医者さんが言うには、傷跡は残るが、右腕が不自由になる事はないらしい。


取り敢えず、5日間入院する事になった。


運ばれている間は半分気を失っていたので、痛みは無かったが、手術をを受けた後が地獄だった。


痛みを和らげる薬?を受け、大分楽になったのを覚えている。


というのも、俺は痛みが引いていくと同時に爆睡を決め込んだのだ。


目を覚ますと、怪我した日から1日経っていた。


姉貴やお医者さんから説明を受け今に至る。


「小道、腕痛くない?」


「うーん、今はチクチクする程度」


「痛くなってきたら言ってね?」


「ああ、分かった」


姉貴は両親の代わりに、俺の事を看病してくれている。


「朝ごはん食ったし、俺寝るわ」


俺はベッドに横になる。


「分かった、起きたら私大学行ってて居ないと思うけど、寂しくない?」


「大丈夫だ、姉貴は心配せずに大学に行ってくれ」


「うん、、分かった。おやすみ小道」


「ああ、おやすみ、、」


俺は眠りについた。


× × ×


目を覚ますと時刻は12時を回ろうとしていた。


起きて周りを見渡す。


予想通り姉貴は居ない、大学に行ったようだ。


「ふぁ〜〜、、、寝みぃ、、」


俺はベッドから出てトイレに行く。


寝起きは大体トイレ行きたくなるよね!


「、、、っ!」


(くそっ!トイレがしにくい、、)


ジャー


「ふぅ、スッキリした」


俺は悪戦苦闘しながら無事、用を足せた。


俺は再びベッドに横になる。


「、、、暇だ」


何もすることが無い。


もう一回寝るか、と思ったがそんな気分じゃなかったのでこの案は却下。


本でも読むかと思ったが、そもそも本が無いので却下。


姉貴が持ってきたものでも食うか、と思ったが、


姉貴が持って来てくれた物が全部缶詰で、開けられないので却下。


てか姉貴、缶詰とか持ってくんなよ。


本当に何もすることが無い。


、、、あっ。


「、、散歩でもするか」


俺はベッドから出て、目的も無く廊下を歩く。


廊下を進んで行くと、ちょっと開けたスペースに来た。


「高ぇ、、」


俺がいる階は8階、上からしたを見下ろすと、まるで人がゴミのように見えた。


俺は近くの休憩スペースに腰を下ろし、2日前の事を思い出す。


柄にもない事をしてしまった


(女子を命がけで助ける俺、超カッケェ!!)


(はぁー、、)


なんであいつはあんな大胆な行動に出たんだ?


「ちょっと、そこのお兄さん」


あいつは伝えたい事を伝えられたのだろうか。


「え、えと、あのー、、」


伝えた結果のあの状況なら、中洲的には満足だったのだろう。


(笑ってたしな)


「あのー!!」


「うひゃあ!!」


突然背後から声を掛けられた。


「な、なんだ?」


振り返ると中学生ぐらいの少年がいた。


「やっとこっち向いてくれました」


「、、何の用だ?」


俺は不機嫌に言う。


「すいません、急に声を掛けちゃって」


(すいませんって思ってんなら声かけてくんなよ)


「えーと、今暇ーーですよね!」


何だこいつ、俺の事暇人って決め付けてるんですけど。


「いや、暇じゃないめっちゃ忙しいから」


「ちょっとだけ、時間くれませんか?」


俺の話聞いてる?なんでこんな強引なんだ。


「はぁー、で何?」


まぁ暇だから良いか、と思い話を聞いてやる事にした。


あ、自分で暇って事認めちゃったよ、、


「ちょっとだけお話し相手に」


「嫌だ」


「ちょっ、なんで即答なんですか!!」


「めんどい」


なんで見ず知らずの中坊と話しなんてしなゃきゃなんねぇんだよ。


会話なんて、俺が嫌いな事Best10の内の第5位だぞ。


「お願いします!」


「はぁー、分かったよ、、」


余りしつこくお願いされたので、渋々話し相手になってやることにした。


「でも、俺から話題は振らないからな?そこんとこはちゃんと分かってくれよ」


「はい!元々自分から振るつもりだったので大丈夫です!!」


そして、俺と少年は夕方になるまで談笑した。


話の内容は他愛も無いものばかりだった。


最初は好きな食べ物の話から始まり、趣味の話や自分の夢とかも話した。


俺の夢を聞かせてやると、何故か哀れむような目を向けられた。


俺の夢のなにが悪いんだ。


自宅警備員だって立派な仕事だろ!!


まぁ、そんな事を話していた。


なんで入院しているかとかは、流石に聞けなかった。


「あっ、もうこんな時間経ってたんだ」


「四時前か」


あ、俺昼ご飯食べてないじゃん。


「そろそろ戻らないと」


「俺も姉貴が来てるかもしんないから戻るわ」


「はい!今日は僕の暇潰しに付き合ってもらって、ありがとうございます」


やっぱ暇潰しだったのか。


「いや、別に良いぞ。俺も退屈だったからな、良い暇潰しになった」


「じゃあまた明日です!」


「おお、また明日、、え?明日も?」


振り返った時には既に少年は居なかった。


「はぁ、まぁいいか」


そして俺は病室に戻った。


× × ×


少年は自分の病室に戻って来た。


「はー、楽しかった!」


少年は満足な笑みをこぼし言う。


「また明日も沢山お話ししよ!」


少年はベッドに 横になる。


ガラガラ


扉が開き、少年の母が入ってくる。


「あっ、お母さん!」


「お見舞い来たよー」


手には沢山の“手紙”を入れた袋を持って居た。


「ほら、ファンの人達からいっぱいファンレター届いてるよ」


「え、本当!嬉しい!」


少年は少女の様な笑顔を見せる。


「早く元気になって、活動再開しなくちゃね」


「、、、蜜柑」


「うん、お母さん!」


少年、いや、少女の名前は椎名蜜柑。


今大人気のシンガーソングライターだ。


小道が少女と出会い色々な騒動を巻き起こすのは、まだ、先の話。


× × ×


ガラガラ


俺は病室のドアを開ける。


「あ!小道、あんたどこ行ってたの?」


中には姉貴が居た。


「ちょっと散歩してた」


俺はベッドに座る。


「怪我して入院してるんだから安静にしてなきゃダメでしょ」


「はいはい」


分かってんの?と文句を言いながらも、俺のために缶詰めを開けてくれる姉貴。


優しいなぁ、これでもうちょっと大人しかったらモテるのになぁ、、、


と、妄想しているとあることに気が付いた。


いや待てよ、やっぱダメだ。姉貴がモテると俺にかまってくれなくなる。


姉貴は誰にも渡さん!!


「はい小道、桃缶食べな」


姉貴は桃を小皿に分け渡してくれた。


「なぁ姉貴、、」


「ん?」


「姉貴って彼氏とかいんの?」


「、、、、、、」


謎の沈黙。


え?いるのか?ねぇどっちなの?その沈黙はいる方の沈黙なの?


「、、、、、、な、」


な?


「何言ってんのアンタァ!!」


ボコッ


「うごぇええ!!」


俺は思いっきり腹パンを食らった。


あ、胃から桃が上がってくる。


「う、、はぁ、」


危ねぇ、あとちょっと止めるのが遅かったらリバースするとこだった。


「あっ、ごめん小道!」


姉貴は慌てて俺の背中をさする。


「い、いや、俺の方こそ悪かった、、」


流石にデリカシーに欠けていた。


でも、気になるんだよなぁ、、弟ですから!


「、、な、いわよ」


「え?」


「彼氏なんて居ないって言ってんの!」


姉貴が顔を真っ赤にしながら言う。


可愛い。


「そ、そうか」


「安心した?」


「いや、別に」


別に安心なんてしてないから、本当だよ?


「フフ、可愛い奴だなぁ、、このこの〜♪」


姉貴が俺の顔を突く。


「やめろ、、だぁ!ウゼェなぁ!」


こうして、赤坂小道の暇だが退屈はしない入院生活が過ぎて行った。


[赤坂小道の退屈]終





中洲の話もそのうち出します。


ありがとうございました。

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